Hatena::ブログ(Diary)

東京から飛んで学校図書館を考える

2018-06-22

『St. Paul's Librarian』2017年度号発行+ブロックチェーンの話の続き

 立教大学司書課程紀要St. Paul's Librarian2017年度号(No.32)を発行しておりましたが,昨日,学術リポジトリでも公開しました(こちら)。目玉はもちろん,昨年のサンドラ・博士の講演会記録ですね。そして,11月に行った公開シンポジウム図書館文書館の最新動向2018」も読みごたえのある記録になっていると思っています。また,LISのオンラインのプログラムを模索しようと基礎研究を続けており,サンドラのサンノゼ州立大学のオンラインプログラムがどうなっているかについての資料も,東山さん(当時は本学学部生,今,院生)に翻訳してもらって掲載しました。さらに,藤原さん(本学院生)には,図書館実習の実施のあり方について,インターネット上の情報を整理してもらいました。二人ともしっかりとまとめてくれて,ありがたいです。その他,多数の学生さんたちにお世話になりました。ありがとうございました。
 
 さて,数日前に書いた,図書館へのブロックチェーン活用についての話なのですが,日本語でどのくらいの情報が手に入るのかなと思って,調べてみました。直接的に図書館関連でというと,今年に入ってから,カレントアウェアネスeで,例えばこんな感じで,記事が出ていますね(この記事の末尾のリンクで,NDLの阿部さんの記事が紹介されていますが,これも参考になりました)。直接,図書館を語っているわけではないのですが,このNTTデータによる説明ページはすごくわかりやすいと思います。将来性まで含めて,よくわかるように書かれていると思いました。
 電子書籍をみなさん,使っているでしょうか?私はKindle Voyageを(愛用とまではいかないが)使っていますが,やっぱりなんというか,近代の印刷物,図書の世界をデジタルでどう表現するかという技術だなと感じるのですね。一方で,ブロックチェーンによって,まったく違う書籍のあり方が出てくるのかなと思わされたのが,この記事です。正直,技術的に私にはわかっていないことが多くて,完全にこの記事を理解できたという感触はもてていないのですが,新しい記録・知識共有のあり方があり得る,ということは少なくともわかりました(笑)。

2018-06-20

Google Chromeの拡張機能

 昨日,ブリタニカの百科事典が,グーグルの検索結果の右側(スニペットと言うそうな)に現れてくるというChrome拡張機能についてのニュースを見た(これ)。びっくりして早速入れてみた。これはすごい。
 価値のある情報は有料なんだよ〜!っていうメッセージを,ブリタニカのような伝統的出版者は言いたいわけですが,実際のところ,ググった後,wikipediaまでは見ても,もう一度,Briitanicaを開いてもらうっていうのはけっこうハードルがあるのだと思うのですね。大半の人はしないでしょう(ライブラリアンはするかもしれないが)。なので,google上でこうやって存在感を示して,実感してもらうより他ない,という判断なのでしょう。Chromeウェブストアから入れてぜひ試してみてください。英語で,French Revolutionとかって検索すると,うまく見られます。もちろん,無料ですよ。
 ちなみに,同じChromeウェブストアから,「カーリル」とかって入れて検索してみてください。もうみなさん知っておられるかもしれませんが,「その本、図書館にあります。」というのが出てきます。入れてみてください。Amazonでの無駄遣いが減りますよ(笑)。まあ,図書館無料貸本屋化を勧めたいわけじゃないのですが,よくできたプログラムだなあと本当に関心しますよ。
 
 今日,最初に紹介したニュースの下の方に,「オンライン百科事典「Everipedia」がブロックチェーン導入で目指すもの」っていう記事へのリンクがあります。これもすごく面白いです。最近,ブロックチェーン図書館への適用について,考えています。私は技術的にしっかりわかるというところまではいけそうにもないですが,インターネットと同じくらいの革命を起こすと言われている技術ですので,注目しています。ちなみに,昨年,招聘研究員として本学司書課程にいらしてくださったサンドラ・ハーッシュ博士のサンノゼ大学院では,先日,ブロックチェーンに関するオンラインのコンフェレンスを開催したんですね。ここに記録がまとまっていますが,キーノートスピーチだけでも,ごらんになるとすごく刺激を受けられると思います(英語です)。ブロックチェーン技術が図書館や情報管理・情報共有の世界をどう変えるかを想像すると,今の,図書館を含む,社会のあり方がどれだけ塗りかえられるのだろうと,わくわくします。中央集権的な社会(近代国家)のあり方は限界が来ている。21世紀のうちに,テクノロジーが牽引して,後近代の新しい社会への移行がかなり具体的に起きるかもしれないですね。

2018-06-07

AASLの新しい基準のパンフレットを翻訳しています

 こんにちはー。
 このたび,立教大学司書課程の学生さんたちとこちらにサイトを立ちあげて,新基準のダイジェストと言ってよいかわかりませんが,AASLが無料公開している,学習者向け基準のパンフレットの翻訳を公開しはじめました。新基準については,本年3月に,『カレントアウェアネス-E』で紹介をしました(こちらからどうぞ)。
 翻訳の作業ディスカッションに加わりたい方はどなたでもwelcomeです。ただし,学生たちの自律的な動きを妨げない条件ですぞ(笑)。

 さて,6月2日には,横浜インターナショナルスクールで,こちらワークショップの第1回を開催し,二十数名の方たちが集まってくださいました。私としては,これからの日本の学校図書館専門職養成のあり方について,大変考えさせられる機会となりました。まあ,一言で言って,私には,大変,清々しい,一日でした。まずは頭の中を掃除するのにも,異文化の人と出会うのは,意味があるなと改めて。第2回目以降のご参加申込,まだ受け付けています。どうぞ加わってください。

2018-05-15

40代が老害になる時代

 昨年あたりから、「老害」にならないようにせねば、としばしば思うようになった。将来のことを話しているのではない、今、自分(40代半ば過ぎ)が老害になっているのではないかという恐怖と戦っているという話。
 私だけが思っているわけでもあるまいと、今、これを書きはじめるにあたって、「40代 老害」とベタに入力してグーグル先生に聞いてみたら、いるいる(笑)。雑誌記事やら、ブログやらが出てくる。中でも、そうだよなあと思ったのが、このブログの記事

今の若い子のほうが優秀
はっきり言います。20代、30代の若い世代の人たちの方が、我々40代よりも優秀な人が多いです。パソコンやインターネット環境が当たり前にあり、常に多くの情報に触れる機会があった彼らは、我々の世代よりも早く成熟しているし、物事の判断が非常にクールで合理的です。またそれが今の時代の生き方、仕事のやり方に非常にマッチしています。

彼らが優秀であること認めないと。自分の能力の低さも認めないと。そして謙虚に彼らから学ぶんですよ。「俺には経験がある」「年齢は上だ」なんて、クソの役にも立たないプライドですよ。

 まったくですわ。すべての若者がそうだとは言わないが、この人↑が言っているように、"多い"。
 以前、D社にいたときもたまに感じてたけど、学生たちといると、彼/彼女らは黙って私の言うことを聞いてくれるのだけれど、それって、宇宙人がしゃべるのを見ている感じなのかなって…。そのくらい、考えていることや見えていることが違うのじゃないかなって。私が10代20代で上の世代を見ていたときには、連続性を感じられていたけど、今の若者が私に対して自分の先を生きる同じ人間という連続性を感じてくれているかどうかわからない。
 
 昨日、「図書館概論」の授業で、図書館の基本的な役割として収集→組織化(整理)→保存→提供があるという枠組みを示して、それぞれの仕事において専門性があるというような話をしていた。収集においては、資料の選定とコレクション形成の仕事があり、それぞれにおいて、資料の評価(質の評価、出版動向やニーズとの関係からの評価)や内容分析をする知的な仕事だとかいった話。そして、資料の組織化に関わっては、人間は秩序を求めるものなのかという問いを投げかけてみたり、NCR、NDC、BSHとかいった図書館の世界で発明されてきたツールがあって、これらを習得するのにはかなりの学習や経験が求められるといったことを話していた。でもねー、ま、そんなん変わってきてるよね。自分で説明しながら、歴史を話している気分でしたよ。
 今朝は、AIを使った選書システムを日販と富士通が共同開発したニュースやら、本の要約サイトFlierが人気で、AIによる要約記事の自動読み上げ(音声化)機能もあってなんていう記事を見かけて…司書の専門性とされてきたことへのテクノロジーの採用が止まらない(日本の場合はそうした専門性の高い部分は業者さんに外注していたという話もあるが)。で、これを作っている人たちが、過去の図書館の世界の慣例なりを知っていると、役に立つ"かも"しれないが、もしかしたら知識がじゃまする可能性もあるだろうし、絶対知っていた方がよいと言えるかね。
 
 世界が急激に塗りかえられてきている。ほんとうにポスト・モダンがやってきているという気がする。ひとつは金融。銀行員の大リストラ時代。私が学部生のころ、高学歴者は銀行に就職していった…中にはすぐに辞めた私の友人のようなヤツもいましたが…(笑)。彼は見切りつけるの早かったなあ!今となれば尊敬する。私のようなとんびさんには見えていない先が見えている人はいたってことですな。関連して、昨晩やっていたNHKクローズアップ現代「“現金お断り”で暮らしが激変!? 〜追跡・キャッシュレス最前線〜」は再放送があったら観ておいてもいい番組だと思いますよ!中国、進んでる!!もう日本より中国の方がテクノロジーは上って時代(もっとも、自分の情報の管理については注意が絶対、必要)。あともう一つ、NHKスペシャル「仮想通貨ウォーズ 〜盗まれた580億円を追え!〜」もすばらしかった。再放送が5月17日午前1時00分〜1時49分(16日深夜)にNHK総合であるそう。ここで出てくる若者たちを見ていると、ほんと、つくづく時代が変わっており、40代がすべきは若者が新しい社会を作っていこうとするのをじゃましないことだと思う。いっぽうで、日本の教育は子どもをsuppressしすぎているのではないかとしばしば、目の前の学生を見ていて思う。これから彼らに出会う大人がsuppressしないだけではたぶん足りなくて、一度、彼らがsuppressされていた過去について仕切りなおすような体験が必要になっていると感じることすらある。もう、教師知識を与える人って時代じゃないな、とにかく。自由に、一人ひとりの子どもが自らの可能性をのばせるようになるための、なんだろう…同伴者とも違うし……なんですかね、ファシリテーター?刺激する人かしらね。

 というわけで?、学校図書館なり図書館なりに関心をもつワカモノに、ぜひとも今度いたしますワークショップに加わっていただきたいです。正直、中学生に来てほしい。本気でそう思っている。

2018-05-14

『私はコーヒーで世界を変えることにした。』

 GWは、本学は授業日が何日かあって、ぜんぜん特別な週ではなかった気がするのですが、それでも娯楽に費やす時間はいつもより取れました。そんな中で、仕事について考えさせられるできごとがいくつかあり、いいなあ、若者・お子さまも読んだらいいんじゃないかなあという本にも出会ったので、なんとか整理して書いてみる。
 私が学部生が終わるころ、就職活動の時期がやってきて、差し迫る形ではじめて真剣に、かつ具体的に仕事について考えたときに思ったのは、自立(経済的・精神的に)したいということが一番で、氷河期だったし、女性にはアシスタント職が用意されていた時代だったから、自立できる仕事を見つけたいというだけでもかなりハードルが高いように感じた。でも、最初はアシスタント職に就くにしても、何か見つけて、必ず30代はじめくらいまでには自立しよう、と思っていたように記憶している。そして関連して、働くって、他の人の誰かに役立たないと、お金は貰えないよなあ、と。自分は何で人の役にたてるのだろうと、悶々と考えていた。それに加えて、自分がなにかとpickyな人間である自覚はそのころまでに十分もっていたので、やっぱり、長く続けられそうなこと、要するに好きなことを仕事にしないとだめだよなあ、と思っていたと思う。
 その後、いろんな働く人たちと出会ってきて、どういう人が美しいって、好きなことを仕事にしている人、もしくは人(他者)のために働いている人、もしくは好きなことをして人のために働いている人だなと強く思うようになった。司書もだし、医療従事者や、料理人にはけっこういるかな。あとは聖職者やエンターテイメント界の人か。すごくわかりやすい究極の例で言うと、ポールです(笑)、Paul McCartney。彼のコンサートに行って、こんなに、自分の好きなことをしていて、かつ、人を楽しませることが好きな人がいるのだ、と感銘を受け、"ポール"は私にとって、働く人をほめたいときに使う言葉になった。友人でいきいき働いている人、日常で出会って、ああこの人の働き方、生き方は美しいなと私が感じる人は、だいたい、この二つの要素をもっている。

 などと思っていたら、GWに入るころ、こういう人たちもそうだなあとつくづく思う二人を見つけた。一人は、この育児ブログの主。発達障害をもつ子ども育児記録なのですが、最初は自分の息子の障害を知らずにいて、気づいて、試行錯誤を繰り返しながら子どもの成長を促し、見守っていく、そのいろいろがブログに綴られている。どうやってこのブログに出会ったのか忘れてしまったが、何かのきっかけで見つけてから、通勤電車の中でこのブログを最初からずーっと見ていき、あまりに感動して、彼女の書いた本『うちの子は育てにくい子:発達障害の息子と私が学んだ大切なこと』を買った。これを読んで、みながいかに手をかけて、心を寄せて、子どもを育てていくのかに今さら気づき、大人になってすっかり忘れてしまっていたけれど、自分もずいぶん手をかけてもらって育ったのだよなあと思い出し、彼女も、私の中で、"ポール級"(←これが最高のほめ言葉なわけです)に認定した!
 と同じころ、レディ・プレイヤー1で、スティーヴン・スピルバーグっていうのも、"ポール級"だよなあ、と思い知らされた。この映画、curatorが登場します。curatorは日本では学芸員のことだと言ったりしますが、英語の世界では必ずしもそうではないようで、特に大学図書館専門図書館では、curatorと言って、学芸員司書の仕事を合わせて行っているような人がけっこういると思います。本学に今年、着任したハモンド先生はイエールでcuratorというタイトルももっていました(ハモンド先生が自らのキャリアについて語られた記事(英語でのインタビュー)はこちら)。まあ、この映画に出てくる、Halliday's Journalというハリデーという人の人生の記録を集めた博物館/文書館のようなところや、Anorak's Almanac(アノラックというハリデーのアバターの名前がついているが、実際はハリデーの人生の記録)などの存在をみると、アメリカ社会において、記録を残す、しかも整理して残す、ということが、私たちとはまったく違う重みのあることであり、それが文化として広く共有されていることを実感する。

 などとしているうちに、GW終盤に、これまたネットサーフィンで、このページを見かけた。とんでもない人だと思い、彼の著書『私はコーヒーで世界を変えることにした。:夢をかたちにする仕事道』をすぐに読んでみた。ページを開くたびに感動して、止まらない。早速、GWに出かけてないんだからこのくらいの贅沢いいんじゃない?と、彼の開いた銀座のお店グランクリュに行ってみた。一生行かないかもしれないと思ってた、GINZA SIXに入っちゃったよ(笑)。いやあ、2種類飲んだのですが、二つめを口に含んで私、泣いちゃいまして。食べもの飲みもので泣いたの、はじめてかもしれません。ほんとすごいですわ。私の飲み物観が変わった。
 この川島さんという人、ほんとうにすばらしいと思うのは、好きなことをして人のために働いている人なんですけど、コーヒーを作っている人の側に立った「人のために働いている人」なんですね。『私はコーヒーで世界を変えることにした。』を読んで、グランクリュコーヒーを飲んで、そう思いました。ほんとうに「世界を変える」かもね、と。南北問題なんかを彼はコーヒーでほんとうに解いていくかもしれないな。フェアトレードという言葉が薄っぺらくすら思われるような、そういうすごみを川島さんからは感じますね。この本の中で、そういうことを直接語ってはいない。し、ポプラ社のこの本の紹介ページ(上掲)の推薦文"自分の仕事を愛し尽くす……男の真の幸せとは、こういうことなんだ!"なんていうことも当然、川島さん自身は書いておりません。サブタイトルも、川島さんが付けたとはとても思えない。彼の両親が彼をいかにきちんと育てたか(過保護な意味ではなく)を見ても、彼が考えていることは"男"だ"仕事道"だなんて言葉であらわされるものとは違うのではないかと思うのだよなあ。"幸せ"って言葉すら違う気がするよ...
 というわけで、川島さんにどこかで会えないかなあと妄想しております(笑)!