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公益財団法人渋沢栄一記念財団情報資源センターがお送りするブログです。
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 1879(明治12)年1月19日 (38歳) 銀行経営者の決意表明 【『渋沢栄一伝記資料』第4巻掲載】

栄一殖産興業の急務なるに思ひを致し、同行をして余贏[よえい=余り]を減少することあるとも、それに金融の道を開かしめんとし、十年七月十五日及び是日の株主総会に於て其決意を述ぶ。

出典:『渋沢栄一伝記資料』 2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代 明治六年−四十二年 / 1部 実業・経済 / 1章 金融 / 1節 銀行 / 1款 第一国立銀行 株式会社第一銀行 【第4巻 p.394-398】
・『渋沢栄一伝記資料』第4巻目次詳細
http://www.shibusawa.or.jp/SH/denki/04.html
1879(明治12)年1月19日に行われた第一国立銀行第13回株主総会において、渋沢栄一は将来への決意を語りました。その中で栄一は、「第一国立銀行を経営するにあたって、私はただ利益を追求するだけでなく、堅実で国益を補うものがあれば貸付の利息を減らしてでも助成すべきであると考え、貸付に専務するのではなく、金融を興産のために役立てたいと思っている。銀行だけの利益を図るのではなく、広く全国の興産の業を助けたいと願っている。皆さんが私の頭取再任をお望みになるのであればこの演説の趣旨を実行して欲しい。これが拒否されるなら、私も再任を受諾することは難しい」という考えを述べています。
この演説を受けて益田孝は「望むのは利益金獲得や株価騰上ではなく、興産作業の途を資育すること」と同意、出席者一同もそれに同意して「議長演説ノ目的ヲ祈望スルコトヲ答言」しました。
栄一の演説文とそれに続く益田孝の答辞等の原文は「第一国立銀行第十三回株主総会決議要件録」からの転載として『渋沢栄一伝記資料』第4巻p.395-397に紹介されています。