ポケモンXY感想−61話目

第61話 「荒野の決闘! 戦えヌメラ!!」

 わぁ〜タイトルコールのセレナも変わってる〜。

 ……そんな感想で始まった、第61話。

 荒野地帯を進むサトシ達。原作でも、ヒヨク〜ミアレは”ミアレの荒野”と呼ばれる荒野が広がっており、どこまでも原作に忠実なXY編には、相変わらず好感が持てる。


 水分補給の休憩中、なにやらヌメラが咳払い。
 風邪引いちゃったの? と、すぐさま心配するユリーカにポケモンへの愛情を感じつつ、シトロン曰く、新ワザの前兆ではないかとのこと。

 そこで早速バトルで特訓に入るサトシ。久々にサトシらしさを見た気がする。
 もっとも、ヌメラの持ちワザは“あまごい”と“がまん”のみ。この荒野で“あまごい”を浴びたピカチュウは満面の笑み。そして“でんこうせっか”でヌメラに突撃した。

 おぉヌメラがバトルっぽいことしてる!

  サトシ 「ポケモンはワザを受けて強くなるんだ! その程度で諦めるな!」

 なかなかにサトシらしいセリフ。元々、弱いポケモンでも一緒に特訓して強くなるのがサトシのスタンス。XY編に入ってからグッと大人っぽく、そして強くなったサトシだが、こういった所謂“修行編”的な面も描いている当たり、これまでの集大成のようにも見える。

 そんな彼を、サボテンの影から見つめていたのは1匹のバネブー(棘が刺さってそうで心配)。
 サトシの元へ駆け寄ると、そのまま倒れ込んでしまった。この雰囲気は、明らかに助けを求めている。
 額の傷が痛々しいバネブーに、シトロンはすぐさま応急処置を施した。


 目を覚ましたバネブー、怪我は大丈夫なようで、喜びながら飛び跳ねる。



 ▲ 笑顔で図鑑を向ける、なんとなく可愛いセレナ。


 何があったのか尋ねてみると、バネブーは しきりにサトシの手を引っ張る。

 着いて来いと言わんばかりのバネブーに案内され、辿り着いたのは、荒野の中にあるオアシス。ここ一帯は湧水が出ているようで、そのため緑豊かなオアシスが出来たらしい。

 そんななか、バネブーが「こっからは息を潜めてや!」との仕草を取り、思わず小さくなるサトシ達。


 ▲ 口を手で塞ぐユリーカが子供らしい。


 茂みから様子を伺うと、そこにいたのは、……明らかに横暴そうなブーピッグだった。

 割かしマイナー、と言うより、特段好んで登場させなくても良いようなポケモンを悪役に仕立てるのが、アニポケの良いところ。
 ブーピッグバネブーに果物を運ばせ、失敗したら怒鳴り散らし、“シャドーボール”的なワザで攻撃すると言う、なかなかも嫌な奴っぷりを放っていた。

 バネブーは、額の傷を指さしご立腹。

  サトシ 「そうか。その傷も、あいつがやったんだな!」
  シトロン 「バネブーたちの果物や木の実を、独り占めしているみたいです」
  サトシ 「許せないぜ……!」

 その時、サトシの頭の上がまるで定位置かのように収まっているヌメラも、ご立腹の様子。ヌメラ自身、自分の住処を強い野生ポケモンに奪われた過去を持っており、今のバネブーの立場と重ね合わせたようである。

  セレナ 「サトシっ……なんとかしてあげられない?」
  サトシ 「……あぁ。バネブー、ここはオレ達に任せろ!」

 サトシは持ち前の正義感で、ブーピッグに立ち向かう。ここでサトシを頼るセレナがまたなんとも。このパーティだとサトシがリーダー的ポジションであることに揺るぎは無いようだ。


  サトシ 「おいブーピッグ! バネブーたちが困ってるだろ!?」

 ……と威勢よく出たものの、ブーピッグバネブーたちを操り、サトシ達に攻撃を仕掛ける。
 こう……、アニポケ内のエスパータイプは、無印時代はナツメの頃から変わらず反則級の強さである。

 地味にフルCGの森を抜け、洞窟に逃げ込むサトシ達。しかしその先は行き止まり。さらに檻が下りてきたもんだから、たまったもんじゃない。
 犯人は勿論ロケット団なのだが、本日の口上は、少し違っていた。

  ムサシ  「何だかんだと聞かれたら」
  コジロウ 「答えて“やる”のが世の情け」

 ……おい今コジロウ“答えてやる”って言ったぞ。“答えてあげる”じゃないのか!?
 そして、今までロケット団の口上は、変則的なものでない限り使いまわしだと思っていたのだが、何となく、毎回収録しているような気がしてきた……。実際どうなのだろうか。

 しかしそんな疑問も、次のコジロウの言葉でどうでもよくなった。

  ムサシ  「あ、ジャリガール、髪切った?」
  コジロウ 「失恋でもしたのかぁ?」


  セレナ 「そんなことどうでもいいでしょ!?」


 コジロウ……、我々ですら聞こうと思わないことを平然と口に出しやがった!
 そしてセレナ怒った!

 サトシに惚れているセレナに対して失恋を振るあたり、何というか、スタッフ側もそういった認識があるようだ。

 ※ どうでもいい考察 : ロケット団側は、セレナがサトシを好きだと気付いていない。


 で、ロケット団はわざわざ紙芝居チックで事のあらましを説明してくれた。優しい!
 どうやらブーピッグを手なずけて、オアシスの果物を強奪する算段らしい。そこにサトシ達が来るのを見つけて、こうして捕えたんだとか。

 さらにロケット団は、ブーピッグに、バネブーたちを攻撃するよう指示。止めて欲しくばピカチュウをよこせと言うのだ。今日のロケット団は珍しく悪役っぽい!


 ▲ 久々に怒り心頭セレナ。


 しぶしぶピカチュウを渡すサトシ。ロケット団は鍵とピカチュウの見張りにブーピッグを残し、果物を回収しに森へと歩いて行った。


 さて、ブーピッグは余裕ぶっこいて昼寝を始めた今がチャンス。ヌメラデデンネが檻を抜け、鍵の回収を試みる。


 ……が。


 とりあえずデデンネ終了。いったいデデンネに何の恨みがあると言うのだろうか。

 その間に、シトロンが探し当てた“岩の脆い部分”に向けて、ゲコガシラが“みずのはどう”で攻撃する。ここを崩せば折から脱出できるはずだ。

 そしてその時、ヌメラが立ち上がる。
 この状況、自分が何とかしなければいけないと分かったのだろう。故郷を襲われた記憶が、ヌメラを動かしたのかもしれない。
 出会った当初から臆病だったヌメラが、こうして自ら戦うことを選択する……それは、ヌメラなりの大きな成長だと思う。サトシと一緒に強くなりたいと言う想いは、本物だったようだ。

 その心がけは立派なものだが、基本、ヌメラの攻撃ワザは“がまん”のみ。
 攻撃を受けて反撃し、受けては反撃し、を繰り返すが、ブーピッグに回避されてしまっては、一方的にやられるばかりだ。

 そうしたなか、ゲコガシラは脆い岩を崩すことに成功する。檻の基礎が剥き出しになり、もう少しで檻自体を破壊できそうだ。

  ゲコガシラ 「げごげごっ!」
  サトシ  「よくやった! あとはオレがやる!」

 ……なんだって!?

 ホントに身一つで突っ込むサトシ。このアグレッシブさがサトシらしさである。

 しかし、ヌメラの方は状況が悪化。いい加減痺れを切らしたブーピッグが、“アイアンテール”的なワザで迫って来たのだ。
 それを見たサトシは焦る。ヌメラにとって、接近戦に持ち込まれてはマズいからだ。

  サトシ 「ヌメラぁ! ヌメラ! 危なーいっ!」
  セレナ 「サトシぃっ!?」


 直 接 攻 撃 !

 今回は割かし痛そうな反応をしたが、ポケモンの盾になって生身で攻撃を受けるのは、もはやサトシの専門特化。これでこそサトシである。

  サトシ 「ヌメラ、安心しろ! オレが守ってやる!」
  ヌメラ 「めっら……」
  サトシ 「ブーピッグ! オレが相手になる!」

 攻撃を受けたにも関わらず、生身でブーピッグの相手を名乗りだすサトシ。
 “アイアンテール”はピカチュウで耐性が付いていたのかは定かではないが、自分のポケモンを守るために体を張るサトシは、やはり頼もしい。

 そんな彼の姿に感化され、ヌメラの体が輝きだす。



 ヌメラヌメイルに進化したのだ。
 そしてさらに、“りゅうのいぶき”を習得し、一撃でブーピッグを蹴散らしたのだ。

 冒頭の“新ワザの前兆”は、この“りゅうのいぶき”のことだったようだ。まさか“咳払い”が“りゅうのいぶき”に繋がるとは……こればっかりは予想できなかった。
 こういった“予測できない繋がり”を見ても、XY編はストーリーに力を入れていることが分かるだろう。

 ピカチュウの方も、地味に自ら一緒に捕まっていたハリマロンピッキングによって脱出成功。ロケット団を探し当て、再度バトルが勃発する。

 ……まぁこれはオマケのようなもので、しかしヌメイルの“りゅうのいぶき”が、バケッチャマーイーカの“シャドーボール”と“サイケこうせん”に、互角で渡り合っていた。ここだけ見ても、ヌメイルのパワーアップが見て取れる。
 最後はピカチュウの“10万ボルト”で、いつものように〆てくれた。


 一方、頼みのロケット団を失ったブーピッグは、バネブーたちの白い眼に対してこの有り様。

 ブーピッグバネブーたちを操ってはいたが、所詮は“虎の威を借りる狐”状態だったようだ。豚だけど。
 けれど、それでブーピッグを追い返すようなことは無く、きちんと許される平和な展開は、アニポケならではだ。


  シトロン 「これで、めでたしめでたしですね」
  サトシ 「ポケモン同士、仲良くしなきゃな!」
  セレナ 「そうよ」

 仲良くしなきゃな、というサトシの言葉で締められたのは、子供向けアニメならではだろう。
 そして、ヌメイルと共にもっともっと強くなることを宣言したサトシ。今後のヌメイルの活躍にも、期待したいところだ。


 ……オアシスあるんだから水浴びしろと念じたのは、きっと私だけでは無いはずだ。


● 総括
 細々したネタを織り交ぜつつ、気持ち久々な、ポケモン達に重きを充てたストーリー。少ない会話でポケモン達の営み、想いを魅せる様は、アニポケならでは。
 臆病なヌメラが自らバトルに繰り出し、そしてサトシを守るためにヌメイルへ進化したのも、ポケモンの心情を丁寧に描いている表れだ。今後のヌメイルの活躍と成長を、引き続き見守ってあげたい次第である。


● おまけ1
 来年の映画はフーパ。……背景これプールだな。プールだよな? プールが出るんだよな!?


● おまけ2
 ヒヨクシティ滞在は4話分。ジム戦とポカロンに加え、日常回が2回と言う優遇っぷり。