『星空へ架かる橋』第6話「桶が落ちるとき」のメモ

 第6話「桶が落ちるとき」のメモ。




 Bパート。歩に川で蛍を見ようと誘われた一馬と初。一馬は見に行こうとするが、初は川に蛍を見に行こうとはしない。それはなぜかというと大好きな兄と婚約者がキスをしているところを目撃した場所が、蛍が集まる川だったからだ。



・部屋にある電灯のため、縁側にいる初の顔は影に覆われる。その顔の影は、兄と婚約者のことを思い出して気持ちが落ち込む初の心理と照応する。照明によって初の現在の心理を表す。照明を使用したものは、この後にも出てくる。それは後述。




・夕暮れが夜へと変わる瞬間の空。黒と赤が混じり合う空が良い。なかなか綺麗だ。どことなく不安を煽るその空の色彩は、まるで初の心を表したかのように機能する。




・今まで兄の顔を見せないようにしていたが、婚約者とキスをする時に兄の顔を見せる。効果的。




・兄と婚約者のキスを目撃する初という「目撃の構図」は本編ラストで反復される。ラストで初と一馬が月を見上げている所を、円佳は目撃する。幼いときの初が兄たちを目撃する構図と相似形だ。初は兄と婚約者が結ばれることを悟り、自分が入っていけるものではないとわかる。それと同様に円佳も初と一馬の間に入っていけそうではないと感じたのではないか。




 縁側に居た時は、光によって顔が影に覆われていた初だったが、今度は満月の光によって顔に影が覆うことはない。一馬によって、初の顔の影(=初の心理的陰影)は取り除かれる。