『となりの怪物くん』第7話のメモ
第7話「2人の距離」が面白かった。コンテ・演出は、出合小都美さんだ。素晴らしい出来栄え。その中でも、雫とハルの窓越しでの会話シーンや雫とハルの階段でのシーンのカット割りが良かった。
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アバン。前景に水が滴る水道蛇口、後景に椅子に座っているハルという構図のショット。
叔母の京子が登場する。そして、水が入ったコップに反射して映し出されるハルの顔のショット。
ストーリーが進むと、京子の台詞で「人間は一人でいると渇いてしまう。その渇きを癒してくれるのは他人だけ」というものがある。
京子に出会う前のハルは一人であり渇き始めていた。その象徴が、水道の蛇口が滴る水であり、ハルから水が流れている=渇き始めている状況。
しかし、京子に出会うことによって、水はコップの中に蓄えられるようになった。つまり、水が流れている状況ではなくなり、渇きはおさまった。
その台詞に関連してか、作中では度々「花」が画面に挿入される。咲いている花は、誰かと一緒にいること(=渇いていない)をあらわしているように思える。
ハルと雫が窓越しに会話をするシーン。
ここで、風に揺らぐ「花」が映し出される。
ハルは渇きを癒してくれる雫と出会った。そして、彼は彼女に好きだよと云うのだ。
作中で度々映し出されるのは、花だけでなく、シーソーを模したインテリアも要所要所で出てくる。
初めは、京子とハルのシーン。
次は、雫とヤマケンの予備校でのシーン。この時、シーソーが下がる。この時点では、雫はハルに対して自分の想いを抑えている状況。
最後は、ハルと雫の階段シーン。雫は、自分は「ハルを好きにならない」とハルに伝える。ハルは、「そんなの俺が変えてやる」と返す。そして、ハルは雫にキスをしようとする。
ここでは、シーソーが一旦下がって、上がるというショットが挿入される。
このシーソーは、雫の心情を仮託したものとなっている。雫が自分の想いを抑え込んでいる時は、シーソーは下降し、ハルの行動によって心が揺らされ自分の気持ちが抑えられるなくると、シーソーは上昇する。
シーソーと一緒に映し出される水滴。雫にとってもハルは渇きを癒してくれる存在(=水)。
『となりの怪物くん』では、ハルと雫の大事なシーンで、階段という舞台が選択されることが多い。
第1話「となりの吉田くん」で、ハルが雫のことが好きという階段でのシーン。雫は上段、ハルは下段にいる。また第3話「やっかい」での雫がハルに「好きだ」と伝えるシーンでは、雫が下段、ハルが上段に配置される。
それで第7話「2人の距離」では、雫は上段、ハルは下段にいる。この時、ハルは雫に対して「そんなの俺が変えてやる」という強い好意を雫に伝えている。
階段のシーンでは、上段にいるものが好きだと伝えられる側で、下段が好きだと伝える側という配置が多いような気がする。好きという好意を伝える配置としては、上段という上から下へという方向性ではなく、下段の下から上へという方向性の方が自然な感じなのかな。告白を効果的に見せるための配置なんだろう。