「碍」と李鐘成氏
李鐘成(イ・ジョンソン)氏は福岡の株式会社ドリームプロジェクトの代表取締役です。介護サービスを提供する会社です。山口県生まれの在日朝鮮人(韓国)三世で一歳半のころ高熱でポリオを罹患し1種1級の障碍者です。
李氏がDINF(障害保健福祉研究システム)の月刊「ノーマライゼーション障害者の福祉」の2006年3月号に投稿され
た『障害こと始めー障害者の害は変である』の記事を見つけ、ご本人に電話でコンタクトしたところ、直ぐに話しがはずみました。私のソウル駐在4年の経験も幸いしたのでしょう。
投稿記事の要点を下記します。
1)自分(李さん)たち障碍者に対し、日本国の条文は「害」するの「害」を用いて「障害者」と表記しており、とても 変です。『私たち障碍者は生活するうえで「バリア」があるのに対して、危害の「害」の扱いであったり、危険的な 扱いであったりとの考えのようです。「害」の字は許しがたいと考えています。・・・以上原文のまま』
2)韓国では障碍者を『チャンエジャ』と発音します。そして漢字で書くときは『障碍者』と書きます。
3)「碍」の本来の意味は「何かしたくてもできない状態」の意味合いだそうです。
それに対し「害」とはものごとを「傷つける」という他動詞的な漢字であり、他に対して危害を与えることでありま す。
4)私(李さん)は聴きたい。「碍」と「害」が同じ発音だからといって、障碍者を障害者と置き換えた人たち(国)は
どんな気持ちで置き換えたのか・・。私たちはモノや障害物ではありません。一人の人間です。人間は「害」ではな いはずです。
5)こういうさまざまな意味合いから、自立生活センター・ドリームハート博多(当時の名称)では、「障碍」として
「碍」の字を使うようになりました。
韓国には「障害」という表記はありません。中国にも台湾にも同様に「障害」の表記はありません。「障害」表記は日本固有のものです。従い、日本以外の漢字圏の人達は、先ずは「障害」表記に違和感を感じ 「障害」+「者」=
「障害者」の合成語にはびっくり仰天することは容易に想像可能です。