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2015-09-03

★電車道/磯崎憲一郎

 電車道


ふしぎに面白く、ふしぎに一気読みしてしまった。

突然の気づきと驚きのなかで、人の認識は、人の人生は、あっと相転移する。この小説ではそれが時をおいて繰り返される。それを悟りと呼びたくなるのは、この作家の過去の作品とまったく同じ。

そのときの情景は絵画や動画のようで鮮やかな印象を残す。そのように土地が描かれ、自然が描かれ、人間が描かれ、技術が描かれ、社会が描かれる。そのような国の変遷と人の変遷を見つめているうちに、日本の近代100年余りがふしぎなスピードで過ぎている。

後半、主要人物のつぶやきを1つ。

《全ての過ちは必然的に犯されるものなのだとしても、やはりその人に相応しい生き方というのは、どこかで待ち伏せている》

その具体例を図太く実証していくのが、この小説だ。


 *


さて、きょうから旅行に出る。この本こそ異郷に身をおいて読みたかったと思う。

ある人の結婚式に出席する。『電車道』では当然ながら結婚もまた相転移というべくして訪れる。地球上では無数の人が無数の人生を毎日たんたんと送っているわけだが、そのうちのある2人はあさって特別な極点を通過する。その場に居合わせる。

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