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2004-04-21

最低のわからず屋とは


高橋源一郎が朝日新聞(19日夕刊)に書いた「どこかの国の人質問題」という文章が話題のようだ。

劣化ウラン弾の被害を調べたり、野宿の子供の世話をしたり、誤爆による民衆殺害を撮影したりといった活動をしていた人たちが、誘拐され人質にされ、解放された。その人たちが人生相談するという形式を借りたうえで、こう問いかける。《こわかった、死ぬかと思った。でも、やっと解放され、目の前に突き出されたマイクに「これからも同じ活動をしたいと思います」といったら、わたしたちの国の政府やマスコミやいろんな人たちに「反省しろ」とか「謝罪しろ」とか「迷惑をかけるな」とか「ふざけるな」とかいわれています。いったい、どうなっているのでしょう。わたしたちは問違っているのでしょうか?

対する高橋の回答は、このバッシングを見聞きする鬱陶しさを、さっと一吹き一拭きしてくれるものだった。ちなみに結論は《こんな恩知らずの国のことなんかもう放っておきなさい》。

予想どおりとはいえ、私も源一郎氏とまったく同じ気持ちだと感じた。こうした意見もまたけっして少なくも弱くもないのかなと安堵したうえで、しかし、あえてあえてちょっと一言。

いま、イラクの武装勢力とやらを最悪の敵とみなす人が大勢いるなかで、彼らの声に精いっぱい耳を傾け共感できる余地を探ろうとする人もいる。人質になった5人はたぶんそうだろう。源一郎氏もそうだろう。私もまあ何もしていないが、どちらかといえばそうだ。

では、いわゆる「テロリスト」にかくも優しくなれる私が、どうして、「反省しろ」「謝罪しろ」「迷惑をかけるな」「ふざけるな」の「テロ」にだけは、かくも厳しく不快で最低の敵とまでみなしてしまうのか。そんないっそうへんな違和感が頭をよぎる。

外国人を誘拐し殺害も辞さない集団には、そうするだけのそうなるだけの理由があるに違いない。一方、「反省しろ」「謝罪しろ」の罵倒を辞さない集団にも、やはりなにがしかの理由はあろう。でもこっちだけは100%容赦なく殲滅すべきなのか? イラクの武装勢力と日本の罵倒勢力。それを並べて比べるのはナンセンスだ、とするのは常識だろう。しかし、いかんともしがたい熾烈な世情が自分の周りを覆いつくすなかで、殴りつけてもいい相手を必死に探し、筋違いのおそれを感じつつも、ただ「ふざけるな」と憤り暴れるしかない、そんな極まった情動において、両者が共通しているとは考えられないだろうか?

天竜天竜 2004/04/21 03:10 いやまったくその通り、拉致被害者たちは恩知らずで低俗でファシスト小泉に率いられた最悪国家日本なんか見捨てて、金やパスポートは奪ってもでかいスーツケースや高価な機材を最後まで盗まずに運んでくれたやさしいレジスタンスのいるイラクに亡命すべきですね。

天竜天竜 2004/04/21 03:15 「反省しろ」「謝罪しろ」「迷惑をかけるな」「ふざけるな」などというクソ日本人どもにくらべたら、ナイフや銃を突きつけて泣き叫ぶことを強要した邪悪なるブッシュ帝国に立ち向かう神の戦士たちは立派過ぎて嫌いになれるわけがありません。

x79xxxx79xxx 2004/04/21 04:20 こんちは。初めまして。朝日新聞の高橋源一郎氏の記述は話題になっていると言う事だけ知っていたので読みたいと思ってました。ご紹介有り難う御座いました。拘束された5人の行動は「脱・国家」な行動で、所謂「自己責任論」はあくまで国家という枠内での物語です。彼らも国家が守るべき国民の内側に否応なく位置している訳ですから。亡命してしまえばいいと言うのはスッキリしていて良いですね。

tokyocattokyocat 2004/04/21 12:37 今回、与党や閣僚らのいわゆる「自己責任」発言を耳にすると、私はあまりのバカバカしさに暴れたくなります。まさに「ふざけるな」と。で、その情動を通じて、反米武装勢力との通路もありえるのかな、と思うわけです。ただ、この私の「ふざけるな」感は、まったく逆に、3人に対して「ふざけるな」と罵倒するしかない、日本の経済や社会が生み出した「テロ志向」とも、実は通じるものがあるんじゃないか、というのが後半の趣旨でした。ただ、お二人のご意見には異存ありません。コメントを文字通り受け止め、感謝します。

kagamikagami 2004/04/22 01:11 私は小泉首相側の立場なのですが、さっさと彼らには国を捨てて欲しいというのは同感ですね。彼らが死のうが生きようが関係ないと云える日本以外の諸国家群は幸せですからね…。さっさと国籍を離脱して火星にでも旅だって頂けたらな…と思います。http://cruel.org/candybox/takatoh.html

tokyocattokyocat 2004/04/22 02:56 「こんな国もう放っておきなさい。さあイラクに亡命だ」。なんというか、言語表現のそれこそ郵便的な面白さでしょうか。

osaka catosaka cat 2004/04/27 22:14 こんにちは。私は高橋さん側です。もともと日本では、純粋な善意から無償で他人のためにがんばる人は、あんまり好かれないんだと思います。特に、自分の命をかけても他人を助けようとするような、目立つことをする人は。

tokyocattokyocat 2004/04/28 09:19 Osakaからようこそ(?)。高橋源一郎氏の意見を読んで私も大いに喝采しました。今もテレビで柏村議員のムカムカする言い分を聞いていたら、ますますそう思いました。しかし、新聞やテレビの解説や主張にも見落としや偏りがあるように、源一郎氏の意見も完全ではありえないとは思うのです。御存知かもしれませんが、次のような指摘もありますよ。http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20040421#p01 http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/nisenikki.html(04/04/22)この指摘もまた完全というわけではないのでしょうが。

osaka catosaka cat 2004/04/30 02:40 こんばんは。教えて頂いたところ読んでみました。ほんと柏村議員の記事を見た時には、頭に血がのぼってクラクラするぐらいだったけど、おかげで血圧が下がったみたいです。ところで、上の方々のコメントや、他のコメントも読んで見ましたが、やっぱりよく分からないのは、今回バッシングしている人達は、日本がどんな国であって欲しいと思っているのか、どんな社会であって欲しいと思ってるのか、です。

tokyocattokyocat 2004/04/30 20:51 バッシングしている人の意図はいろいろでしょうが、柏村議員の場合は「国をあげて決めた自衛隊派遣に反対するとは何ごとだ。しかも政府の言うことを聞かず勝手にイラクに行って、国に迷惑をかけるとは何ごとだ。これはもう日本への反逆だ」と、みごとに単純な言い分でしたね。でも自衛隊派遣は、内閣と政府がとにかく強く望み、そのために自民と公明が国会で法を通しただけ、という経緯に思えますから、そもそも「国をあげて」というのが当っているかどうかが大いに疑問です。でもそれはさておくとしても、この柏村という人は、今回の攻撃と占領がどこまで正当なのか有益なのか、実際イラクは今どういう状態なのか、という根本のところを最初からちっとも見ていないんじゃないでしょうかね。ただ「みんなで決めたことだから、みんなで従うのは当たり前です」と、まるで日本社会のくだらない部分を体現したような人物に見えました。バッシングの何割かはこんなところかもしれません。これに対して鳥越俊太郎氏はかなり怒って、高遠さんがイラクで活動しているVTRを見せながら、「こうしてイラクのことを思ってイラクに行った人に対して、イラクのことなど大して考えたことがなく、今なお全く何もしていないあなたが、どうして反日などと言えるのか」と迫っていました。/私は、日本政府の態度や自衛隊の派遣に対しては疑問が渦巻くばかりです。ただそれと同時に、では人質の3人に代表されるような世界観や行動ならば、現実にどこまで可能性があるのか、錯覚はないのかということをも、ぜひ見極めたいと思っています。(長いわりには、毎度同じ結論で、すいません)

kagamikagami 2004/05/01 00:44 >日本がどんな国であって欲しいと思っているのか お答え致しますと、私が望んでいるのは自由至上主義社会(http://www.ethics.bun.kyoto-u.ac.jp/~kodama/ethics/wordbook/libertarianism.html)です。私は別にイラクだろうがどこだろうが、危険地帯に勝手に自己責任で『行く』事は別に良いんです。行きたいなら地雷原だろうが北朝鮮だろうが、じゃんじゃん行けばいい。然し、そこでリスキーな自体が発生した場合、『事態』の責任を国に押しつけるな、自己責任でなんとかしろという事です。正直云って、国が助けないで、人々も助けないことを当たり前として冷静に捉え、助けたい人だけで、職業ネゴシエーターに頼むなりなんなりした方が良かったと思っています。

tokyocattokyocat 2004/05/01 02:04 リバタリアニズムというのは、なんとなく大きな錯誤に陥りそうな気もするのですが、現在の国家絶対の世界も同じ程度には大きな錯誤を抱えている気がするので、比較・選択の余地は十分あると思います。といっても深く考えたことがないので、よくわかりません。ただ、そういう方向の自己責任ということなら、今井君などは、むしろ日本人の平均より意識しているほうではないでしょうか。「市民の命は国家ではなく市民自身が守る」という信念も(それがファンタジーだとしても)強いでしょう。それに今回は、なにより日本政府自体が、交渉相手に名指しされたうえ面子と利権をかけた自衛隊の撤退を迫られて、もう誰のためでもなく政府自身のために税金と人出を惜しまなかった、という話だと思います。もしこれが、私がのんきに観光旅行していて山奥かどこかで行方不明になったのであれば、まさか外務副大臣は飛んでこなかったでしょうから。それにしても、「老後は自己責任」の閣僚たちこそまさにリバタリアンですね。でもリバタリアニズムを始めるにあたっては、鳩山さんの17億円をはじめ、私たち全メンバーの資産も年金も、まずはいったんチャラにしてからじゃないと、アホらしい。

osaka catosaka cat 2004/05/02 04:09 tokyo catさん、 kagamiさん、ありがとうございます。 kagamiさん、教えて頂いたところ読みました。おもしろかったです。それから、もしわざと危険な所に行く人が増えて、そのたびに救出することになったら大変だし、そうならないためにイラクに行く事を禁じたら、自由民主主義ではなくなるから、行くことを禁じないし助けない、というお考えはよく分かりました。  tokyo catさん、いろんな意見の日記を読んで来ました。どんなに複雑な問題か思い知りました。分かったのは、私自身イラクのために何もしなかったし、何ができるか分からない、日本の人のために何かしたこともない、ということです。柏村議員の件で一番驚いたのは、「反日」と言ったことです。私は日本人だから、私と私の言動は、1億3千万分の1の日本そのものです。私も、例えば犯罪を犯した人も、柏村議員も、人質だった人達もみんな、他のどこの国でもなく日本そのものです。だから、どんな言動をとっても、それを「気にいらない」とか「悪い」と言うことはできても、「反日本」と言うことはできないと思います。柏村議員の納めた税金の一部が人質の救出に使われたのかも知れないから、文句を言う権利はあると思います。誰にも文句を言わせない方法で、私にできることがあるか考えます。今井さん達の記者会見を見て、お元気そうだったのでほっとしました。

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