東京永久観光 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-01-20

ベストアルバム、超絶リミックス

このところ 坂本龍一の『UF』(映画音楽集)を聴いていた。素晴しい。本人が強く関わったベストアルバム(3作中の1つ)。傑作ばかりの20曲だが、とりわけ「シェルタリング・スカイ」「ハイ・ヒール」「嵐が丘」「ブッダ」といったオーケストラを全面に出したテーマ曲は、全身まるごと滑らかに溶け込んでいくような快感。年代が91〜94年と集中しているのも興味深い。それらをまとめて聴く贅沢。本来は「アレクセイの泉」のような人工楽器っぽく工房作業っぽい曲のほうが私は好きだし飽きないし坂本龍一らしくも感じるが、圧倒的スケールで迫る激情には否応なくもっていかれてしまう。

同時に読んでいたのが、『定本 柄谷行人集2 隠喩としての建築』(asin:4000264877)。これまた柄谷自らが編んだベストアルバムと形容したい。同名の『隠喩としての建築』や『内省と遡行』『探究1』などからエッセンスを選りすぐって大胆に繋ぎ直してあるようだ。これまた比類なき思索のシンフォニー。素晴しいとしか言いようがない。かつては読んで苦しいとしか言いようがなかった気もするが、こちらは原著より遥かに理解しやすくなっている。懐かしのヒット「形式化」「外部」「他者」を再度味わうべし。

東浩紀存在論的、郵便的』が受け継いだ柄谷の思索というのも、この定本2にある「形式化」「外部」といった主題で括れる部分だと思われる。『存在論的、郵便的』はしかし、柄谷言論を「もうやめてください」と泣きつきたくなるほどの超絶技巧でアレンジしリミックスしていく。その精緻さは通常のオーディオ能力ではなかなか再現できない。できるだけ馴染みやすい部分をシングルカットでもしてくれていたらよかったのだが。カラオケで歌え、現代思想。

UF ASIN:B00006K0TY

定本 柄谷行人集2 隠喩としての建築  ASIN:4000264877 

存在論的、郵便的 ASIN:4104262013

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