昨日見てきた。予想と違い「なるほど〜、なるほど〜」と感心したり納得したりするばかりで、ただすんなりすっきりの気分で映画館をあとにした。監督の思う壺にハマったというかんじもしない。私の場合、佐村河内氏にもともと全く悪い印象をもっていなかったのが影響しているのか。
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……あのあとネットでいくつかのレビューを読んだら、『FAKE』の評価は大きく変わった。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/iidaichishi/20160615-00058863/(飯田一史)
http://blogos.com/article/178313/(神山典士)=こっちは完全ネタバレ=
そのうえで現在の感想をいうと、佐村河内氏をめぐる今回のいわば娯楽としてのドキュメンタリーが、佐村河内氏をめぐるありうべきジャーナリズムとしてのドキュメンタリーに増して有益であるとも面白いとも思えなくなった。
なお、かように、ほんの1,2時間で評価ががらりと変わる私の心情や思考のほうは、あまりにも信頼性が低く、それはそれでドキュメンタリーにしてもらってもいいレベルだ。
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とはいえ、森達也監督が、比類のない生成方式による比類のない創作物を提供している事実は、まったく揺るがない。そもそも日本で名が知られているドキュメンタリー映画作家なんて、相撲界における横綱くらいに数が少なく、そして、力も強い。
(なお奇妙なことに、「比類のない生成方式による比類のない創作物を提供している」という事実は、佐村河内氏にも当てはまっていた)
また、私にとっては、今わざわざ映画館まで見に行こうという気持ちになる新作映画は、他にはなかなか思いつかない。