東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『週末の観光』

tokyomoon2018-08-20

コツコツと日記を書こうと言ってすぐに書けなくなってしまった。タイミングを見失ったり、それどころじゃなかったり。義務であるわけではなく、自分のための書き置き。


土日は休みを取って、住んでいる豊島区の姉妹都市である栃木県那珂川町へ。一泊二日で民泊するツアーに参加してきた。JR氏家駅というところに現地集合。池袋から切符を買おうとしたら買える切符の圏外だった。ひとまず宇都宮駅までの切符を買うと、領収書みたいなカードサイズの切符が出てきた。週末だからか、宇都宮まで向かう電車はそこそこ混んでいてなかなか座れなかった。大宮を越えたあたりでようやく座れた。宇都宮までは在来線で1時間半くらい。近いわけではないけど、遠すぎるとまでも感じなかった。宇都宮駅で黒磯方面に乗り換える。車両は少なくなっているのだけど、乗る人はかなりいて、都心の渋滞くらいの混雑に。そして一駅の間が長い。


氏家駅に到着。バスで移動し、ツアーの開始。実は一ヶ月前の休みに視察ということで車で出かけたところもあったので、少し見慣れたところもあった。驚くのは、稲がすっかり育っていて、もう収穫目前くらいまでになっていた。田んぼが緑から黄色へ。見た目で季節を感じる。地元の風土記会館で話を聞いたり、そば打ち体験や、手びねりによる器作りなど体験させてもらう。いわゆるバスツアー。とはいえ、こういうのは参加するとするで面白い。話を聞くと冬はあまり雪が降らず、マイナス10〜15度くらいになるというこの場所に縄文や弥生時代などずいぶんと昔から住んでいる人がいたというのだから、どのようにしてその人たちは厳しい冬を越えていたのだろうと思う。蕎麦は歯ごたえがあるそば粉の多い麺だった。付け合わせででた玉ねぎの天ぷらが甘くて美味しい。手びねりはビールなどを入れる器を作ろうと思ったが苦戦。果たしてうまく完成するのか。娘はタヌキの焼き物を作ったらしい。


それからその日、泊まらせてもらう地元の方と顔合わせをし、車に乗せてもらいその方の家に移動。いわゆる民泊というもの。昔ながらの大きな家。大黒柱を中心とした家づくり。縁側があったり、玄関入って右手にリビング、奥にキッチン、そして、左手に仏壇と父の実家の作りに似ている。あと、不思議なもので、こういうお家にはマッサージチェアがあり、だいたいそのマッサージチェアはすでに使われておらず、巨大なぬいぐるみの置かれるスペースになっている。

飼い犬が2匹、飼い猫が2匹。飼い猫のうちの1匹以外は人懐っこく、僕ら初めて現れた人がいても警戒しない。犬はともかく猫でこの寛容さはなんなんだろうと思う。80歳を越えるご高齢のおばあちゃんがいらっしゃるのだけど、畑仕事をこなすお元気な方で、芋掘りなどをさせてもらった。他にもきゅうり、ピーマン、ブルーベリーなどたくさんの野菜畑ある。もちろんそれを育てるには日々のコツコツとした手入れが必要なのだろうけど。


他の地域も同様の問題を抱えているだろうが、子供達の数は減少しており、高齢者の割合が増えている。小学校は統廃合を繰り返し、今では2つしかないらしい。さらに地元に産業廃棄物の処理施設を作ることが決まっており、区画の整理が行われて道路を拡げる工事もしているという。その施設を受け入れることで還元されるものもあるのだろうけど、どのようなものを廃棄物として受け入れるのかによっては環境にも影響がある。


夕方、風が吹くともうなんだか肌寒いくらいだった。蝉や鳥の声が聞こえる。あとはたまに走る車の通り過ぎて行く音くらい。日がゆっくりと沈んでいく。歳をとってきているのか、こういう時間が貴重に思える。


日暮れ前に近くの温泉に連れてってもらう。見晴らしのいい露天風呂があり、そこで日が暮れていくのをぼんやり眺めてから、家に戻り、ご飯を頂く。地元のコシヒカリと、家の畑で採った芋やピーマン、シソの天ぷら。おばあちゃんが漬けたキュウリの漬物が本当に美味しかった。


少しだけ、震災の時の話。この町のあたりはだいぶ揺れたらしい。他の民家は屋根瓦が落ちてしまったところもあったという。視界がたわむような揺れ方をしたという。それで空を見上げると煙のようなものがあがっている。どこかで火事があったのかと思ったが、あとからわかったのはそれが杉の花粉だったとのこと。激しい揺れで花粉が飛んだのだろうとのこと。


夜はすっかり暗く静か。サマータイムの導入は極めてどうだっていいが、暮らす環境で確実に生活のバイオリズムは形成される。日が沈めば静かになり、あとは眠り、日が明けると起きて仕事を始める。季節と共にその生活を繰り返す生き方。


翌日はイノシシの肉を頂いたり、鮎を川に竹で作った仕掛けで捕まえる簗(やな)を見たりと、また充分観光させてもらった。たまに、こういう観光も良いものだなぁと思う。


帰りの電車は、同じように在来線で宇都宮からゆっくりと都内へ。徐々に見慣れた都会の街並みになっていく。風の通らないビル街はまだ少し蒸し暑い。