スマッシュ!は「友情」「勝利」「恋愛」でできています!!

スマッシュ!(12) (講談社コミックス)

スマッシュ!(12) (講談社コミックス)

「友情」

女の子の気持ちってよく分かりません。女子の友情なんて特に「?」だらけです。それでも12巻の蛯沢(エヴィ)&高柳(リサ)の友情は素敵でした。10巻において、鬼頭コーチは「女子ダブルスの場合個人的な仲間意識が強く、強い者同士の組み合わせが相性がいいとは限らない」と語っています。それだけバドにおける女子のつながりは重要ということです。これまでは翔太と亜南という男子ダブルスが取り上げられていましたが、12巻は女子の友情ですよ。

逆に言ってしまえば、「男子ダブルスは仲間意識を気にする必要はそれほどない」ということになります。ただこう書くと聞こえが悪くなってしまうだけで、本当はダブルスを組んで試合をしていく間に友情が深まっていくんだと思います。それと対比した上で、女子キャラは最初から友情を持っていてこそなんだろうと思うわけで。


ダブルスはお互いの信頼が生み出す芸術です。俺はそう思います。どこかお調子者のエヴィに対して精神的に引っ張ってやれる存在としてのリサ。ただ、リサがエヴィを支えてやっていると思わせつつ、実はお互いが支えあっているという事実。お互いが尊敬しあっているという事実。パーフェクトっ!!中学時代に大切なものを求め続けたエヴィがリサという友達に出会えた物語は実にマーベラス




勝利

今年からお前がエースだ。
地区予選で優勝した時に監督が翔太にかけた一言です。週マガでこの言葉を聞いたとき、震えました。安西先生が「とりあえず君は日本一の高校生になりなさい」と流川に投げかけた一言級のお言葉でした。たったこの一言で翔太に背負うべきものが増えたわけです。しかし、それだけ翔太という少年を信頼したからこそなわけで。


1年の時から目をかけ続け、才能が芽吹いた神尾竜一戦。そしてケガをしてしまったた翔太をずっとサポートし続け、12巻でとうとう花開いたわけです。監督としては早々に、美都が引退した時に「エース」という言葉を出してもよかったはずです。それでもここまで何も言わずに来たのは、台頭してきた1年生への見本として、責任感という重荷を少しずつ背負わせることによってまた一つステップアップしてほしいという期待です。


これからは絶対に負けてはいけない。翔太は絶対に期待に応えてくれる漢だと信じています。「そのつもりです」と堂々と答える翔太の言葉には、自信と優飛に追いつくことが自分の人生だと捉えていることが見え隠れしています。*1




「恋愛」

12巻で欠かせないのはやはり美羽と亜南の恋物語です。これまで決して言葉に出さなかった美羽への愛を語った11巻の亜南。そして亜南という存在を意識し、ハッキリと亜南への愛を悟った美羽。超ラヴい。残念ながらお互い「素直になれない症候群」のせいで少しすれ違いをしてはいますが、その距離は着々と近づいていっています。


「好きだ」と一言も言ってもらっていないのに、本当の気持ちを知らされていないのに、無理やりキスされそうになった美羽が「こわい」と感じたのは当然です。そもそも亜南は無理やりが多すぎるんですよ。恋愛にしてもバドにしても。俺から見れば亜南のひとりよがりなんですが、「こわい」という言葉を拒絶されたと勘違いしているあたりが亜南らしいです。ただ、それでも距離が縮まったのは彼ららしいですが・・・。


どこまで行っても男前。*2どこまで行っても俺様。それが亜南です。美羽に投げかけた「お前がエースだ」という言葉は、自分の未来の彼女に対して対等以上であってほしいという願いから来たものかもしれません・・・。



・・・・・・・とか言いながら、











「ないですか―」



こうなるんだからすげえよ。改めて12巻を読み直して、初めて手をつないだ時の美羽も超絶可愛かったです。








「友情」「勝利」「恋愛」というどこかの雑誌で聞いたことがあるようなフレーズでできているスマッシュ!ですが、10巻以降ようやく面白さ、人気共にうなぎ上っているような気がします。ベイビーステップとかいう地味地味なテニス漫画なんかに負けないでもらいたいものですよ。*3まだいける。まだまだこの漫画はいけると信じてやまないわけですが、この漫画を読む人口がもっと増えてほしいなーと思う12巻でした。おしまい。

*1:最近のスマッシュ!に思う恋愛とスポーツの境目http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20090125/p2

*2:男前ですよ、亜南さんhttp://d.hatena.ne.jp/toldo13/20090217/p2

*3:ベイビーステップへの悪口http://d.hatena.ne.jp/toldo13/20090207/p1