あきらめの悪さは月マガの王道「四稲家の人々・最終巻」



羨ましいキャプテン・田村(左)

昔とは違ってサッカー漫画も多様化してきました。夢を与えるキャプ翼のようなトンデモサッカー漫画もあれば、ジャイキリのようにプレーや応援、采配までもが1つの物語であるというリアルサッカー漫画もあります。しかし、ついにサッカー漫画は采配をメインとしたトンデモサッカー漫画を生み出しました。月刊少年マガジンでやっている「蹴児 ケリンジ」というサッカー漫画ですが・・・これが結構面白い。
超有名監督の下に集まった新設のサッカー部員たち。しかし、その監督がサッカー部創設三ヶ月にしてお亡くなりになります。そして、その監督が最後にキャプテンだと指名したのが主人公の田村。ただし、ものすごい運動オンチです。そんな田村が監督にあこがれて、まねて、そして実践しはじめた戦略を駆使してチームを勝利に導きます。最初は半信半疑だったチームメイトも認めてくれるようになり・・・。
はじめの方に出てくる「魔術師殺し(キリングジョー)」という戦術はなかなか面白かったです。サッカー漫画として一読の価値ありよ。


サッカーが大好きだという気持ちから来る”あきらめの悪さ”が、運動オンチの田村を何故かかっこよく見せるんですよね。言い方は悪いですが、この”あきらめの悪さ”を持つ主人公が月マガには多い気がします。戦っている相手でも、自分の境遇でも、目の前の壁から目を逸らさないかっこよさがあります。


そういう意味では「四稲家の人々」の主人公・四稲春彦は生粋の月マガ主人公だなと思います。セクハラが30%を締めると思われる作品ですが、従者の忍者・卯月と共に戦い、色んな人を巻き込みながら逆境を勝ち抜いていきます。
そして、そんな四稲家の人々も大団円を迎えました。颯爽と突き抜けた最終巻は読み応えありでしたね。何か予想外に分厚いし・・・。



グッバイ御主人・・・

月の里を巡る戦いで12人の忍びをそれぞれ従え、奪い、最後に勝ち残った者が里の主君として君臨します。春彦が得た最初の従者が卯月でした。しかし、のほほんと体育祭をしていたら、主としての印でもある駒を奪われてしまいます。

春彦と卯月には子供の頃からの繋がりがあり、特に卯月が春彦を慕っています。駒を奪われたら終了。里の掟は絶対であり、どれだけ慕っていても駒を持っている人間こそが主。それだけでSっ気をくすぐられますね(←?



クマが助けに来たよ!

本来なら駒をなくした時点で終了(記憶操作されて全てを忘れる)なんですが、自分を慕ってくれていた忍びのレツがやってきてピンチを救ってくれます。この伏線回収が相当秀逸でした。「僕を主として認めようと思ってくれた時に駒を預けて」とレツに言っていたんですよ。駒を奪い合う争いの中で甘いと言われたものの、これが春彦らしさだったように思います。蒔いた種が実ったなぁという伏線回収でした。




まぁ・・・こっから急展開だったんですけどね。






あきらめない春彦

自分の双子の弟・ヒロムが最後の敵としてでてきます。春彦の持ち駒は4人。ヒロムは7人(卯月含む)。数だけ見れば春彦の方の旗色が悪いように見えますが、最強の忍びと言われる睦月、そして自分を信頼して駒を預けてくれた3人の忍びがいます。そして、卯月を守れなかったという挫折と・・・その後の努力も味方します。後は・・・分かるな?



以下、余談です。
最後の方は一体何があったのかというほどに急展開でした。特に駒を奪われてから最終決戦までは一気に駆け抜けました。正直、春彦の修行シーンとかすごい楽しみにしてたんですけど!!?描いたら絶対面白いと思ってたのになぁ・・・。残念。
もしかして打ち切りだったのか??と邪推するわけですが、しかししかし、志賀伯先生はそんなことを微塵も感じさせずにきれいに終わらせています。人によっては色々と思うかもしれません。ただ、1〜5巻まで描いてきたクセのあるサブキャラたちをこうも違和感なく物語の終わりに溶け込ませるとか凄いの一言です。ちょっとそういう意味では感動しました。だから打ち切りじゃないよ!!これって大団円・・・だよね。



THEセクハラ漫画

何故かオマケ漫画が18Pもありますw
意外と(←失礼)勢いのある戦闘描写。主人公とヒロインの小さな頃からの恋物語。それと巨乳。12人という多彩な忍者たちや、春彦とは違った意味で芯あるライバル。あと巨乳。なんだかんだいい漫画でしたね。ちょっと月マガという雑誌で大物に隠れがちでしたが、知る人ぞ知る良作だったかと・・・。6巻で読みやすいですよー。志賀伯先生の次回作に期待。