面白さの結論までは常に証明済みなんですよ「Q.E.D.−証明終了−」

毎月×2、講談社作品は大量に発売されるんですよ。一般向けからオタ向けまでそれはもう・・・。よくもまぁ講談社作品だけでもこれだけ買うもんだなぁとよく思います。その代わり講談社というグループの中でもピンからキリまで数え切れません。そのため、メジャー作家さんからマイナー作家さんまで数多くいます。いわゆる”知る人ぞ知る”な漫画家さんも多いわけで。
もう何年も前から好きな漫画家さんですが、そういった場合には加藤元浩先生をオススメすることが多いです。作品が既にドラマ化までしているのでメジャー扱いでいいじゃないかと思うかもしれません。ただ、加藤先生のポテンシャルだと正直もっと上にいてもいいと思っています。





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現在、加藤先生が抱えている作品は2つ。1つは月刊少年マガジンで連載中の「C.M.B.−森羅博物館の事件目録−」です。
C、M、Bの文字が書いてある3つの権威ある指輪を全て持つ主人公の榊森羅。タイトルにあるとおり自身も博物館を持ち、博物館を充実させるべく世界中の不思議を集めています。話の多くは博物館に置かれそうな”もの”(古代系)を中心とした事件を解決する物語です。後述しますが、Q.E.D.は推理がメイン。C.M.B.については”もの”を中心とした人情味溢れるお話が多いように思います。



そして、もう1つが「Q.E.D.−証明終了−」です。隔月誌に連載していながら、もう既に39巻まで発売されています。40巻目前です。加藤先生の出世作にして、加藤先生=QEDというくらいの作品です。C.M.B.と世界観を共有しており、時おりCMBとの交流漫画を描いたりもしています。




基本的には各巻2話構成です。39巻の1話目は”ああばんひるず6号室事件”。ボロアパート・ああばんひるずで起きた大家さんの自殺?の真相を主人公の燈馬想と水原可奈が解決していきます。
大家さんが6号室で自殺をしているのを発見されますが、そのお孫さんがケチだった大家さんがそんな簡単に死ぬわけがないと二人に依頼をしました。警察ですら既に二人の実力を認めており、あっという間に解決します。まぁ、それもそのはず。主人公の燈馬はMIT帰りの天才高校生。まるでパズルを作るように論理的思考をフル回転でズバッと解決。この作品の中で燈馬が困ってることってあまりないです・・・。どんだけ天才なんだ。






39巻2話目は”グランドツアー”。燈馬がMIT時代にお世話になった宇宙工学の教授に招待された先で起きた事件。推理漫画でありながら人が殺される確率がそれほど高くない作品ですが、今回は2話とも人が死んでいます。おお、珍しい。少し余談ですが、むしろCMBの方が殺害確率高いです。月刊誌に連載しているということで盛り上げているんでしょうか?
あと、QEDはそういう(人が死なない)作品であると読者が分かっているんですよね。割り切りとはちょっと違いますが、それが魅力だ!と分かっている方が多いのかと。




Q.E.D.は証明終了の証

グランドツアー、30年も前にあった奇跡的な惑星の配置が引き起こした事件。グランドツアーを利用した惑星探査機打ち上げが引き起こした悲しい事件。教授に呼ばれた燈馬と可奈が、様々な証言や事実を元に解決まで導きます。
「○○ならば××である」というのは中学数学で教わる証明の基礎(仮定&結論)ですね。二人が色んな仮定や条件を見つけながら結論までたどり着くわけですが、CMBでは「驚異の部屋へ」が合言葉、QEDではその名の通り「Q.E.D.」と描かれると解決編がスタートします。もし燈馬と一緒に解決したいなら、その解決編がスタートするまでに何度も読めばOK!ちなみに、いつも何も考えずに解決編を読んでいますが・・・。





止まらない面白さ・・・?

これは”すごい”トリックだ!というよりも、”面白い”が先に来る推理作品です。読み続けると永遠に止まらない面白さ、10巻程度まで読んでしまうとあとはどの話を持ってきても読めてしまう作品です。QEDファンはきっと「イチオシ話」があるのでは?一度、他の方々の好きなイチオシを聞いてみたいですね。


そんなQ.E.D.ですが、かなりの苦労人?漫画?です。連載当初はマガジンGREATで連載していましたが、休刊に伴い新雑誌マガジンイーノでの連載開始。正確にはGREATをリニューアルしたのがイーノなので、同じ雑誌に連載し続けるといえばそうなりますかね。で、この度、マガジンイーノも休刊が決定。また新雑誌になるそうで、Q.E.D.も再度そちらで連載が続きます。
ただ、マガジンGREATマガジンイーノも新雑誌も常に月マガ増刊」というのは変わっていません。作者曰く「飯を食ってたらいつの間にか暖簾だけ変わっていた」とのこと。まぁ・・・そうなりますよね(苦笑)。それでも作者の加藤先生が描くことは変わらないんだという良い(?)事例です。


グレだろうとイーノだろうと、面白さという帰着点は変わりません。雑誌が変わっても生き残るというのが確たる証拠です。つまり、その面白さはまさに証明終了済みなわけです。




イーノ休刊・・・。生き残る作品はいいけど、終わらされる作品には堪らないよねぇ。