とびっきりの笑顔の結末「ちはやふる・第九十一首」

小倉百人一首による競技かるたを描いたちはやふる。もうすぐ100話目に突入しそうです。現在91話目。今年中には確実に100という数字が見えてきましたが、百人一首を題材にして100話となると、何かいいことが起きそうな気分になりますよね。


さて、お話は団体戦が終了し個人戦決勝も終盤へ。奇しくも決勝に残った二人は団体戦に参加していないクイーンの若宮詩暢と、名人を祖父に持つ綿谷新。まぁ、新は団体戦にちょこっと出ていたんですが、やっちゃいけないことをやっていたので割愛。



ミスター千速振る

最初はさすがにクイーン優勢じゃないかと思われていましたが、クイーンの精確な速さを徐々に圧倒していきました。その強さ、まるで独楽のようにまっすぐ勢いよく回り続ける「千早振る」がごとく。正直、これまでのクイーンの強さを見てきたら、新がここまでできるとは誰が思ったでしょう。決勝前はいい勝負ができればいいんじゃない?程度に思っていましたが、全く持って違う結果が見えてきました。終盤にリードしているのは・・・新。



イメージしろ

新が一番楽しかった時期は千早たちと過ごした時期。そして、そんな新がその時期から今までずっと目指したのは祖父の姿―。
子供の頃はマネをしても体が追いつかなかったため、再現できなかった祖父のかるたも、今では大人の体を得た新にとっては再現可能なものとなっています。これが新の目指したかるた、目指した「千速振る」の体現。それは同年代最強と謳われたクイーンを追い詰めるものでした。強い。新は強い。






クイーンの笑顔

そしてクイーンの笑顔ですよ。勝ったか負けたかは読んで確認してほしいなぁと思いますが、だいたいは想像付きますよね?だって笑顔ですもん。勝利の笑顔か、別の意味を含んだ笑顔か・・・。それは読者になって見て取るべき情報です。
そういえばクイーンは子供の頃、新に勝てなかったそうです。新がかるたをやめてしまった後も研鑽を続け、クイーンという地位を得ました。自分に比肩する人間を待ち続け、しかし仲間というものを否定し続ける毎日。かるたを続けてはいたものの、それは虚しい時間だったのかもしれません。一方で、かるたを離れた時期もありましたけど、仲間がいた時間を心に残していた新。ここまで言ってしまえば結果は分かってしまうでしょう。



ええ、クイーンが負けました。しかし、その負けの影にクイーンの体調不良があったこと、千早たち強豪とも本気で戦ったことも付け加えないといけません。大雨に見舞われたクイーンは熱があったそうです。それでも負けじと、もしくは新との決着を付けたい一心でかるたに挑んでいます。



クイーンだから

団体戦なんて〜と言っていたクイーンですけども、その団体戦で見たものは自らに挑もうとする面々の勢いでした。そんな気概を見せ付けられては引けません。新に負けて見せた笑顔は、負けてしまったなぁという笑顔であり、一人きりではないことを実感した一日への喜びの笑顔だったのではないでしょうか。
クイーンという立場にいて色々と思うところはあったのかもしれません。それでも、千早をはじめとしたチャレンジャー(のような戦友??)が得られたこと、新とまた戦えたこと、もしかすると負けたことも喜ばしかったのかもなぁと思ってしまうわけです。


今回は参加者全員が何かしら得るものがあったのかなぁという大会になりましたね。唯一貧乏クジを引いたとすれば、学費が高くつくことになった新のご両親でしょうか。子供を羽ばたくところを支えてやってください・・・金銭面でw 
しかしまぁ、これは続きが気になる展開になってきました。特に名人戦あたりが気になります。新にも頑張ってほしいですが、本当は太一にも・・・という気持ちです。そして、千早もクイーンを目指す次の努力が見たいんですけど、まずはケガを治さないとね。とにかく次号が待ち遠しいです。