(元)登校拒否系

反学校、反教育、反資本主義、反歴史修正主義、その他もろもろ反対

朝鮮学校「無償化」除外と北朝鮮への経済制裁について

 いぜん 「高校無償化に賛成するので、抱き合わせでこれもやろう」で しゅちょうしたように、「高校無償化」は そもそも 差別的な せいさくである*1。高校に いっしょう えんのないひとは たくさんいる。ついでに いうと 中学や 小学校にしたって そうだが。また、現行案では、留年などで 最低卒業年限を こえて 高校に ざいせきするものについては、すくなくとも 国レベルからの えんじょは でないことになっている。*2高校就学が「あたりまえ」とされ、中退者や中卒者、中学さえ中退したもの(=貧乏人がおおい)には、子ども時代に なめた辛酸では ふじゅうぶんであったとでも いうかのように、そのごの 人生において 困難のフルコースが よういされている。そのような 社会的恫喝を はいけいにして 高校進学率が いじょうな 高水準を たもっているかぎり、学校からの はみだしものにとって 「無償化」問題は 恩恵からの 排除というよりは、じっしつてきな 罰金制度として きのうする。じっさい、アメリカやイギリスでは、中等教育からの 脱落者に たいして 世帯への 福祉停止、運転免許剥奪、そして 保護者の 逮捕に いたるまで、バラエティゆたかな 制裁が よういされている。日本の 「高校無償化」は、そうした せかいてきに みられる ネオリベラリズム的「アメとむち」の いちれいである。
 さて、朝鮮学校に たいする 「無償化」排除攻撃は、そういった 教育のネオリベ化とは また べつの 問題として、まず ひはんされなければならない。それは、 教育に 政治問題を もちこむなということとは ちがう。教育が 政治問題でないことは ありえない。また、朝鮮学校の 生徒が 「拉致」以後に 生まれたとか、子どもなのに かわいそうとか、そういうことには 無関心であるべきだ。そのような ものいいは 子どもの政治的主体性を おとしめるし、じゃあ あいてが おとななら いいのかということになる。さらに、朝鮮学校の 朝鮮国家からの相対的自立性や 日本の学校との近似性も はんだんざいりょうであってはならない。在日が どんな 学校をつくるか、朝鮮学校が どのような カリキュラムを くむか。祖国を どのように いちづけるか。そのことへの 日本国家の かいにゅうを ゆるすなかれ。もし げんじてんでの 朝鮮学校の 教育内容が どのようなものであれ、それを かくにんしてから 「無償化」の対象にするのであれば、そのことによって 日本国家は 民族教育を 裁可-拘束(=sanction)することになる。それは 同化主義の 暴力だ。朝鮮高級学校への 「無償化」助成は、無条件なものでなければならない。「〜だから」という べんかいは ふようだ。*3
 産経新聞「無償化除外へ知恵を絞れ」は とても ふかい 洞察を あたえてくれる。金光翔(きむ・がんさん)が してきするように、

この社説がすごいのは、今回採られる可能性が高い差別措置について、文科省は「外交問題を考慮しない」などと建前を整えようと(整えながら行なおうと)しているにもかかわらず 、産経はそのような建前について、「それは建前です」とはっきり言ってしまっている点である。「知恵を絞れ」と言っているのだから。外交上の「国益」の観点から、ましてや戦時でもなく平時に、生徒の大半が相手国の国民であるという理由だけから差別措置を採るということは、法治国家である以上さすがにできない。だから、それを法形式上可能にするように「知恵を絞れ」というのである。そして、確かに文科省や平野官房長官らは「知恵を絞」って、「無償化にふさわしいカリキュラム(教育課程)かも含め、文部科学省がチェックしなければならない」などという建前を打ち出してきているわけだ。産経の主張は、今回採られようとしている措置がどれほど差別的かつ排外主義的なものであるかを浮き彫りにしている。


http://watashinim.exblog.jp/10804763/

どんな「知恵」が とびだしてこようと*4どうきは あきらかであり、いっかんしている。すなわち、北朝鮮への 経済制裁である。国家への制裁の とばっちりを 在日朝鮮人が うけるのは 不当である。しかし すくなくとも どうじに、そもそも 経済制裁が 不当なものであるということを 言わなければならない。
 不当な経済制裁を正当化するとされているのは、「拉致」と核開発である。そして このうち とくに 前者は、「救う会・北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」のような 極右団体が 「知恵」をしぼって えらびだし、日本政府が 利用している口実だ。朝鮮学校への 差別の口実として 経済制裁を 実効性のあるものにすることが あげられるように、経済制裁という攻撃の 口実とされているのが 「拉致」である。「拉致」への リアクションとして 経済制裁が あるのではない。経済制裁の口実として 「拉致」が りようされているのだ。矢部史郎(やぶ・しろう)も 言っているように*5、「拉致」は、日本も当事国であった 「冷たい戦争」の かていで はっせいした問題である。核開発問題もまた、日本やアメリカ、韓国などをも 当事国とする 戦争というぶんみゃくに いちづけられねばならない。北朝鮮に たいする 経済制裁は、この戦争の延長だ。そしてその戦争は、日本の過去の侵略戦争と植民地支配、そしてその 未精算という問題と、相互関係に ある。「拉致」や核開発だけを とりだし、北朝鮮だけをテロ国家認定することは、この終わらない戦争の一当事国家の視点に同一化することだ。
 戦争は つづいている。かつて われわれは、銃を つかった。いまも 銃を もっていて、おりにふれて ちらつかせている。しかし、べつのしかたによる 攻撃も おこなう。経済制裁だ。経済制裁という ほうほうで、北朝鮮国家を 攻撃する。かのちの 人民を いためつける。また、われわれは 在日という ひとじちを ひょうてきにすることもある。朝鮮総連を 弾圧しよう。朝鮮学校を 攻撃しよう。「主権回復を目指す会」の しょくん、あんしんしたまえ。日本政府は、民主党は、しょくんと ともにある。


 朝鮮学校への 差別を ゆるしてはならない。「無償化」除外を てっかいさせなければならない。それが きんきゅうの 獲得目標であることは 言うまでもない。そしてその目標に そくした 方法が もさくされるべきであり、また、有用な 「りくつ」が つかわれることに はんたいしない。しかし、経済制裁が そもそも 不当だということは、言われなければならない。とくに、よういに それが 言えてしまう たちばに あるのであれば、「ほんとうに こまっているひとに かえって めいわくになりかねないから」 などという 自粛は ゆるされない。それは、じぶんの はつげんについての責任を ほかならぬ 「ほんとうに こまっているひと」に アウトソーシングする こういだ。そこで 言います。鳩山由紀夫政権よ。北朝鮮への 経済制裁を いますぐ やめれ。


 せんげつ、ぼくは たびをした。いくつもの ぐうぜんが かさなり、『ヒロシマ・ピョンヤン』(伊藤孝司(いとう・たかし))の 自主上映を みることになった。日本の 経済制裁が どのようなもので、どのようなことを もたらしつづけているのかということを まざまざと みて、しょうげきを うけた。また、朝鮮の 先軍政治や 核開発、個人崇拝といったものが、なにを はいけいに どのようにして えらばれているのか、そこに どんなひとびとの どんな おもいが たくされているのかということについて、すこしばかりの 想像力を えた。 ただし ざんねんながら、駅から徒歩5分の 上映会場に たどりつくまで、2時間は こちょうとしても 90分は さまよい あるいていて、つかれきっていた。もういちど みたい。できれば 映画館で。




関連・参考
拝啓、日本国家様 - ニートのあした
「「高校無償化」制度の朝鮮学校( 高級部)への適用を求める要請書 」賛同よびかけ - ニートのあした
<更新>朝鮮学校の高校無償化除外に抗議しよう! - 切り刻まれる私


http://www5d.biglobe.ne.jp/~mingakko/sasaerukaiapi100222.htm
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mingakko/cf100301.htm
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mingakko/koen046.htm

*1:ただし、さきの 記事をかいたじてんでは、外国人学校は さいしょから 対象外に なっているものと かんちがいしていた。じっさいには そうではなかった。支援が受けられると おもわせておいて、ぎりぎりになって てのひらを かえす 政府の やりくちの なんと ひれつなことよ。

*2:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/__icsFiles/afieldfile/2010/01/28/1289336_1.pdf

*3:kscykscyいわく、「絶対に政府による教育「内容」精査を認めてはならないのである。もう少し具体的にいえば、拉致問題と人権問題を混同するな、とか、肖像画は他の学校でも飾っているなどといった次元での「反論」は、むしろ教育「内容」精査への動きを加速化させるだけであって、百害あって一利無しだ」。

*4:たとえば、それ自体が 差別によって よぎなくされている 日本の高校とのダブルスクールなどを もちだして、「二重取り」を ぼうしするといったような いかにも 俗情と結託しやすい口実が でっちあげられるかもしれない。

*5:VOICE OF ANTIFA 右翼排外主義に反対する声 ラジオ006 09/12/01