麦の海に沈む果実 恩田陸
☆☆☆☆
面白かった!私好みの小説だなあ。
最初はすこし「ロミオとロミオは永遠に」に似てるかな、と思ったけど、
「ロミオ・・・」よりこっちのほうが納得いくし、面白い。
校長が絶対権力を握るとある学園は、世間から隔絶されたところにある。
この学園は、生徒によって違う役割を果たす。
まず、温室育ちのぼんぼん向けの「ゆりかご」としての学園。
次は、主に芸術家を目指す子どもたち向けの超英才教育の場「養成所」としての学園。
最後に、愛人の子・罪を負った子達向けの「墓場」としての学園。
「墓場」としてつれてこられた子どもが圧倒的に多いせいか、この学園は3月以外は原則転校・編入が禁止なのに、いつのまにか「いなくなる」生徒が多い。
「3月の学園」といわれるこの学園に例外的に2月の最後の日に編入してきた理瀬。
その学園では校長が絶対権力を握っていた。
校内には最新鋭の盗聴機器も備えてあり、生徒たちの行動は校長に筒抜け。
その中で起こる殺人事件、精神に異常を来たす生徒達。
校長は生徒を掌握するために、定期的に「お茶会」を開く。
「お茶会」という密室で錯綜するそれぞれの思惑。
権力にすりつぶされ、犠牲となる生徒。
でもそれは校長の跡取りを選ぶための巨大なゲームだった。
という話。
こういう話私好きだなあ。
さよならアメリカ 樋口直哉
☆☆☆
「となり町戦争」がつまらなかったからこれも期待していなかったんだけど、
これは結構面白かった。
となり町戦争もこれも何か新人賞を受賞したんだよね。
突発的にとなり町との戦争が始まるって言う設定も奇抜だったけど、
この作品の「袋をかぶって生活する」袋族という設定もかなり奇抜。
だけど、袋をかぶって生活するっていうのはきっと思ったほど不快ではないんだろうなと思う。
KKKとか頭巾をかぶるけどさ、自分は見えてるのに自分の表情が他人からはわからないっていうのは
結構快適って言うか、それに惹かれる気持ちはなんとなくわかる。