「私は赤ちゃん」読了。

 松田道雄著「私は赤ちゃん」(岩波新書)読了。著者は小児科医だが、読みものとして大変面白い本。「私はおととい生まれたばかりである。」の一文から始まって、誕生直後から一歳半までの家族の生活が、赤ちゃんの目線で描かれていく。病気や心配事に関するアドバイスも豊富なので、育児書としてももちろんおすすめ。岩崎千尋の挿絵もこの本の大きな魅力の一つだ。続編の「私は2歳」(岩波新書)もぜひ読みたい。
 以下、一番好きな部分を引いておく。「見送り三振型のパパ」っていう表現がいいよね。

 しかし現実においてパパたる人びとが、週刊誌とお笑い番組とノミ屋とに生活の興味を集中して、新聞の世論調査にはいつも「わからない」で通していられると、この話に出てきたような見送り三振型のパパになってしまうかと思います。そのうち坊やも人間を見る目をだんだんと肥やしていくでしょうから、酔っぱらって買ってくるチョコレートだけでは坊やを人間的にひきつけられなくなるでしょう。今のうちにせいぜい精神の冷水摩擦をやっておいて、精神の伝染病にかからないように鍛えておかれることを希望します。(118ページ)

私は赤ちゃん (岩波新書)

私は赤ちゃん (岩波新書)