■たまプラーザ団地はワルシャワにもある?

沿線風景

沿線風景

原武史『沿線風景』講談社、2010年

原武史様、ご恵存賜りありがとうございました。

・昨日もまた、原先生といっしょに電車に乗って、至福の時間をすごしました。この本、田園都市線を基線にして生まれているのですね。読ませます。

・大連、香港、北京、台北、ロンドン、エルサレムなどの郊外と比べると、東京の郊外にある団地は、ポーランドワルシャワの郊外の団地にそっくりという。旧社会主義国の生活であれ、東京郊外の生活であれ、人々は、団地生活を通じて、おそらく同じような社会意識をもって暮らしているのだろう。

・それで、分かった気がする。なぜ私は、これまで社会主義イデオロギーに魅了されてきたのか。それは言ってみれば、「団地社会主義」のイデオロギーなのだ。団地生活が可能にする、ある種の設計主義的心性と、平等意識、そしてコミューンの活動。団地生活を通じて、私は幼少期に、特殊な社会主義の感覚を身につけたように思う。ワルシャワでは90年代になって、資本主義体制になっても同じような団地の建設がつづいたというが、この団地生活のスタイルこそ、70年代にマルクス主義が再興した際の、下部構造をなしていたのではないだろうか。