無言館

 10時前に黒部を後にすることになったので、さてどこへ行こうかと思い、以前から行きたかった場所でもある上田の無言館へ足を向けることにする。ナビに目的地を入れると11時を少し回った頃に到着という。大町から上田というのも距離とかそのへんを含めてけっこう無謀といえば無謀、案の定下道でけっこうな山道というかロングワインディングロードを走行することになる。
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無言館
 無言館は戦没画学生の作品を集めた美術館。水上勉の息子である窪島誠一郎が開設した。上田でも市街地ではなくけっこうな山奥にある。なかなか雰囲気のある場所だ。展示される作品は洋画あり日本画ありで、すべてが戦没した画学生や美大出の無名画家の作品だ。習作に近いものもあれば、かなり力作、才能を感じさせるものもある。生きていれば戦後の画壇で活躍が期待された逸材も数多いたのではないかと思う部分もある。
 絵ととともに画学生たちの遺品、パレットや画材、戦場から綴った家族への手紙なども陳列されている。その中には美術展で東山魁夷よりも上席で入選した逸材もいたという記録もある。戦争は沢山の才能を無情にも奪っていったのだということ。
 併設されている早生した画家の作品を集めた信濃デッサン館は残念ながら3月に閉館してしまっているのだとか。ここには村山槐多や関根正二の作品もあると聞いていたので残念な気がする。
長野)「信濃デッサン館」閉館へ 「無言館」運営に集中:朝日新聞デジタル
受付にいた男性に聞いてみると、なんでも7月25日から一ヶ月だけ臨時で開館し、それ以降は長期に渡り休館となるという。出来ればその期間に一度来ておきたいと思うが、こればっかりはタイミングとかいろいろあるからなんともいえない。
こうした地方の私設美術館の運営もけっこう厳しいものがあるのだろう。勝手な推測ではあるが、著名な画家の作品を長期に貸し出すか売却して、無言館の運営資金にでもするのかなと思ったりもする。
 ここは折に触れて訪れたい場所だと思う。