フランスの「テロ賛美罪」

時事ドットコム:仏風刺芸人、検察当局が捜査対象に=「俺はクリバリ」とネットに書き込み

 バルス首相は12日、記者団に「表現の自由はあるが、テロ礼賛は見過ごせない犯罪だ」とデュドネ氏の言動を批判。

これを読んだとき「犯罪」というのは比喩的表現だと思ったのだが、調べてみたらフランスでは本当に犯罪なのであった。

(2) テロ扇動罪及びテロ賛美罪に対する刑が、5 年の拘禁刑及び 7 万 5 千ユーロの罰金. と、これまでより重くなり、インターネットを利用した場合には、7 年の拘禁刑及び. 10 万ユーロの罰金となった(第 5 条)。

⇒【フランス】[立法情報]2014年テロ対策強化法―インターネットによるテロの拡大―(PDF)


俺が無知だっただけかもしれないが、ネット検索してもこれに関する記事日本語情報はあまり無いように思われる(検索方法に問題があるのかもしれないけど)


なおイギリスにも同様の法律があり、こっちはそれなりに情報がある。
英国2006年テロリズム法―「邪悪な思想」との闘い (PDF)
これによれば、

主張の受け手となる公衆が、主張に掲げた行為が現状において彼らによって模倣されるべきものとして称賛されていると推論できること。

とある。


これって歴史上の出来事(たとえば桜田門外の変)とかも称賛すると処罰されるってことになるんだろうか?それとも対象外ってことになるんだろうか?日本だと幕末のテロリストが英雄になっている例が多数あって、それに自分をなぞらえるテロリストが出てくる可能性は十分あるだろうからアウトってことになりそうですよね。英仏ではそういうことを考える必要はなかったのだろうか?


それにしても明確に賛美しているならともかく、「俺はシャルリー・クリバリのような気持ちだ」と書いたからって直ちにテロを賛美しているということにはならないでしょう。もちろん逮捕されたわけじゃなくて「捜査を開始した」ってことなんだけど、それでも十分言論に対する圧力にはなるでしょう。


日本だったら「言論を萎縮させる」って話になりそうだけど…