- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/02/04
- メディア: 文庫
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ぼくはピエロの人形だ。
人形だから動けない。
しゃべることもできない。
殺人者は安心してぼくの前で凶行を繰り返す。
もし、そのぼくが読者のあなたにだけ、目撃したことを語れるならば…しかもドンデン返しがあって真犯人がいる。
前代未聞の仕掛けで推理読者に挑戦する気鋭の乱歩賞作家の新感覚ミステリー。
この作品は東野さんの作品の中ではマイナーな方かもしれません。
でもだからといって面白くないわけではなく、さすがは人気作家、それなりに読ませてくれます。
「十字屋敷」とわざわざ屋敷に名前がついているものだから、ついついシマソウや綾辻並みの超絶トリックが登場するのかと思ってしまいましたが、そんな大掛かりな仕掛けはありません。
はっきり言ってトリック自体に目新しさはなく、犯人もそれほど意外なわけでもなく、ミステリを読み込んでいる人にとっては少々つまらないかもしれません。
ただ、それは言い換えるとミステリの基本をきちんと押さえた堅実な作品だということで。
ピエロの人形が語り手となる部分が時々挿入されるというのがちょっと他のミステリと違うところで、これはなかなか面白かったです。
地味でありながらオリジナリティも盛り込んだ佳作です。
この作品を「ものすごくいい!」と絶賛する人もいないでしょうが「全くつまらなかった」とけなす人もいないでしょう。
ただ、残念なのは探偵役がちょっと弱いかな、というところ。
悪くはないのですが…なんかこう、惹かれるところがないのですよね。
やっぱり東野ミステリの探偵役は加賀刑事に限るわぁ(結局それか)