Meet me in the dollar bin;1.泡沫バンド編

こんばんわ。異常な更新率の低さと共に細々とやっているこのブログですが、どれほどの閲覧数があるのでしょうか。まったく気になりません。なぜなら自己満足だからです。
さて、ブックオフという音楽好きにとってはとても素晴らしいお店がありますね。先日「ブックオフは都市の巨大な音楽アーカイブとして機能している」という言説を読んだのですが、全くその通りだと思います。実際、250円のCDコーナーを何時間もかけて調べると掘り出し物って結構な数があります。雑巾のような悪臭が充満する中首が痛くなるまでしらみ潰しに棚を見て回るのは疲れますが僕にとっては楽しいアクティビティとして機能しています。
そんな250円コーナーに埋もれている知られざるバンドたちを掬いあげ、スポットライトを当てようではないか、というのが本日のテーマです。換言するならば、「250円にも五分の魂」、「投げ売りバンドの美学」といったところでしょうか。僕はアーティストが思いを込めて作ったCDが安売りされ、誰の目にも止まらずに埃を被って眠っている、という切なさ、諸行無常さが大好きなのですが話し始めると長くなるので前置きはこれくらいにしてさっそく紹介していきたいと思います。

まずは挨拶代わりにこの曲。


The Lodger - You Got Me Wrong

イングランドはリーズで結成されたギターポップバンド。2006年のデビュー作からのキラーチューンです。開始5秒でノックアウトですね。キレッキレのドラムは意外に女性ドラマーです。アルバム全編スミス、ローゼスから連綿と続くブリットポップアイデンティティーが流れる良作。Wikiによるとまだ活動してるみたいです。

つづきましてコチラ。


Hal - Play The Hits

アイルランドはダブリンからの刺客。この曲がちょこっとヒットしたのでアルバムがUKチャートで31位に入りますが、その後黙殺の憂き目に遭いました。可哀想に。歌詞はラジオから流れる昔のヒット曲に耳を傾けて、「これ、手に入るの? 聴きたいんだけど」というものですが、自分たちがその通りになってしまったというなんとも皮肉な話です。それでも、キラキラしたメロディとビーチボーイズ風のコーラスは今聴いても鑑賞に耐えうるものだと思います。

次の曲へ参りましょう。


18 Wheeler - Kum Back

うおう。再生数がガクっと下がりましたね。グラスゴー産の知る人ぞ知るバンド、18ホイーラーです。ブリットポップ全盛期の94年に産声を上げ、アルバム三枚出してすぐに解散してしまいました。ちなみにこの曲が収録されたファーストアルバムはクリエイションからリリースされ、なんと日本盤も出ています。フィードバックノイズに激しく絡むディストーションの効いた泣きメロ。シューゲイザーですね(シューゲイザーが何かいまいち理解していない)。「胸を掻き毟るような曲」ってこういう曲のことを言うんだと思います。

ラストはこちら。


The Crocketts - Will You Still care

ウェールズ出身のバンド。ウェールズはいわゆる「UKロック」らしからぬユニークなバンドを輩出する場所として知られていますが、このバンドも恐らくピクシーズ(ボーカルがちょっとフランク・ブラックを意識している?)やREMといったアメリカのオルタナティブ・ロックに影響を受けた音を出しています。そして歌詞がなかなか文学的でおもしろい。ちなみに僕が持っているのはセカンドアルバムなのですが、これも日本盤が出ています。解説を書いた大貫憲章はこんなグループがいたことを覚えているのでしょうか…。レ・ミゼラブル。この曲はファースト(日本盤未発売)収録曲なのですが、ボーナストラックとしてライブテイクが収められていてそこで知りました。静から動へのスイッチ、「俺がお前のマンションの10階から飛び降りてぐちゃぐちゃになってもまだ俺のことを好きでいてくれんのかよ?」と歌う悲痛な叫び。そしてまっすぐなメロディ。ライブテイクが素晴らしく、初めて聞いた時にものすごい衝撃を受けました。歌詞、曲ともに素晴らしい、一世一代の名曲だと思います。
ちなみに、かのメリー・ホプキンをフィーチャーした


この曲はサビで「マッチョなんかより、弱虫でいたい。処世術を身につけるより 今を懸命に生きたい」と歌う全ナード号泣必死の名曲です。

これらのバンドはなかなか250円コーナーでも見かけなかったりするかもしれませんが、根気よく探せばあるはずです。Amazonでぺぺっと注文もできますが、苦労をくぐりぬけて入手するだけの価値はあると思います。
それでは今日はこのへんで。次回はいつになるか分かりませんがシリーズ化したいと思います。