高知県東洋町 〜核廃棄物処分場誘致問題〜

現在、原子力発電環境整備機構が公募している核廃棄物処分施設の建設地調査に、高知県東洋町の町長が独断で応募した問題で、反対派と賛成派が住民集会を行った。
同町では、町が抱える借金を返済するための応募と捉えられているが、応募がきっかけで賛成派と反対派が町を二分する形となった。
メディアでは、町長が悪者扱いされるシーンがしばしば登場するが、 総人口3800人の町が抱える借金を考えれば苦渋の決断だったのではないかとも考えられる。
だが、少子高齢社会の到来で人口が今後減少し10年、20年という長いスパンで考えると今回の決断は果たして正しかったのだろうか。
例え一時的に借金を返せたとしても、人口が減少して税収が取れなくなればまた同じ様に借金ができる可能性がある。それを回避するためには、他の地域から人を呼び寄せて定住してもらう必要性があるが、そのためには行政サービスとして他の地域との差別化を図らなければならない。何よりも重要なのはその地域で働ける場所があるかどうかと云うことになる。持続的な生活ができるかどうか、それが最も重要な課題ではないだろうか。
核廃棄物最終処分場がもし建設されるとして、建設事業などで雇用は増えるだろうが、それは長期的なものではない。企業を誘致するなどの根本的な問題を解決しなければならないだろう。一時的な交付金だけで何とかできるのかどうか、怪しいところだ。
また、最悪合併という事になったとしても、最終処分場の存在が重荷になってしまって嫌煙されるということもあり得る。一度、廃棄施設を作ってしまえば何百年もそこに在り続けるということを検討しなければならない。
とはいえ、地方の市町村の抱える借金の問題は東洋町だけの問題ではない。たぶん、この一件の成り行きを真剣なまなざしで見守っている地方自治体もかなり在るはずだ。この件の成り行きによっては、今後手を挙げる自治体も複数出てくるものと予想される。


参考
http://www.gds.ne.jp/machi/cgi-bin/gds.cgi?LOC=39301