大晦日

今年もいつのまにか大晦日。一年を振り返ろう。
今年の最大の出来事はやはり博士号をとったことであろう。D5ぐらいのときは出口が見えずもうサイエンスで食べていくのは無理だろうと半分諦めていたので、神様がくれたラストチャンスだと思って日々研究にいそしむ。
いつからか複雑ネットワークと意識のメンバーシップ問題の関係を研究したいと思うようになって、意識のあるなしを脳のネットワークのレベルで調べていけば、どこかでアノマリーに出会えるのではないかとずっと期待しているのだけれど、いまだ出会えず。でもそのアノマリーのカタチを想像することはなにより楽しい。
サルの実験をするようになって、サルの行動を観察する機会を多く得るようになった。社会実験で、ヒトとサルが隣り合って座っていてエサはサルの左右に置くことができるのだけれど、ヒトがいるほうに置くとヒトがエサを横取りしてしまう。そういう実験でヒト側にエサを置くと、サルはそっちじゃないだろ?といわんばかりにおれの手をぴしゃりとたたく。隣りのヒトは恐いから怒れなくてその代わりに実験者を怒るというのがサルも空気を読んでいておもしろいと思う。
今年はなんだか解析のコードばかり書いていて、本も論文も最小限しか読まなかった。脳が単一のモードになっていてやばい。そして、来年は論文を出さねば。
今年もありがとうございました。

8月

8月は当社比で2倍働いたきがする。
前半1/3が学会のデータづくり。
中1/3が、2日に1回は実験したくない!とストライキを起こす
サル君をなだめすかして社会行動の実験をした。
大好きなエサをあげると振幅が100倍大きくなる
電極がいたんだけどなんなの。
終わり1/3は、新しい解析を試す。


ここ一年、延々とone trialの高次認知の神経活動を抽出しようと
狙っているのだが、すべて玉砕に終わっている。
問題の本質は、高次認知は運動と違って
明確なfitting対象がないということで、
抽出する際になにがシグナルでなにがノイズなのか
explicitな教師信号を与えることができない。
だからみんなイベントを切るわけだけど、そうすると
temporal dynamicsが見られない。
最近、ファラデーが電線から生じている目に見えない磁力線を
「見る」ために電線の周りに砂鉄をばらまいたことを思い出して、
砂鉄のアナロジーで、間接的な何かを加えることで、
見えない高次認知の流れをとらえられないのだろうかと思った。