桜の園


花が咲いて、初めて、むこうがわにあった桜の園が、姿を現す。
桜は近くで観るより、遠くから観るほうが美しい。それと、群生しているほうが。
以前、ある庭園で、その庭園内のシンボル的に有名な桜の大木を観た。
地面近くまで、両側に長く伸びた枝に、たくさんの支え木。
まるで、両腕を支えている、杖のようで。
老木を、無理やり立たせているたくさんの杖のようで。
私の華を、待っている人たちが大勢いる、今年も咲かなきゃ、と舞台にたつ、老いた役者の壮絶な姿のようにも見え。
山のように桜のシーンはあるのに、なんでこんなイメージを強烈に記憶してんだろう、私は。