2016-05-01 ■ 短歌人(月例作品) 短歌 さんかんしをん 伊波虎英 揃(ぞ)ろ目に生まれ揃ろ目に死にしキェルケゴールの三十四歳、その五月闇 虐待のニュース途切れぬ日常にスザンヌ・ヴェガを思ひ出したり 緘黙の鴉のごときコーヒーを胃に沈めたき閏日の朝 暖房はこたつと湯たんぽのみなれば起き抜けにわが鼻水止まず オリーブ油白く濁れる寒き日もありて三月さんかんしをん 字余りの短歌のやうな背番号31の掛布雅之 グァーグァーと家鴨のやうに鳴く奴のすがた見えねど鴉と信ず