死者からのボール
3時過ぎの新幹線で関西へ戻る。
陽射しがまぶしく、シェードを下ろして本を読む。
読了。
佐藤泰志『海炭市叙景 (小学館文庫)』(小学館)
いつかは僕にも、エアリのマスターがピアノをやめたように、両親がとにかくも新しい生活に踏み切ったように、何かをやめ、何かをはじめる時が来る。それは車がカーブを曲ったその時に来るのかもしれない。(p.301)
とても良かった。全体としてとても良かったが、
最後の「しずかな若者」は、とりわけさわやかで、
向日的な印象。学生の頃のポジティブな感覚を、
少し思い出したような気がした。
構想では海炭市の四季が描かれるはずだったそうで、
冬、春までが書かれていて、夏・秋は書かれていない。
それを知って、猛烈に夏のシーンを読みたく思った。
佐藤さん、僕は夏の海炭市の話が読みたいです。
購入。丸善丸の内本店。
谷川俊太郎、箭内道彦、宮藤官九郎『ボクらの時代 自由になる技術 80歳詩人の言葉を聞く』(扶桑社)
気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
北川智子『ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)』(新潮社)
小田嶋隆『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社)
松田充弘『しつもん仕事術』(日経BP社)
田中長徳『屋根裏プラハ』(新潮社)
今日は、新幹線で眠くならなかったので、
『海炭市叙景』に続いて、こちらも読み始めた。
ら、読み終えてしまった。
読了。
谷川俊太郎、箭内道彦、宮藤官九郎『ボクらの時代 自由になる技術 80歳詩人の言葉を聞く』(扶桑社)
箭内 震災のとき、「福島県に何かメッセージを」って言われるたびに、「いや、僕は福島をずっと応援しますよ」って言いたいなと思ったんです。今だけじゃなくて、ずっと応援したい―――これって結婚と同じ約束だなって思ったんですよね。(p.72)
箭内さんの結婚に対する感覚(約束への怯え)みたいのは、
僕もずっと抱いていた感覚でした。そして、未来への意志の表れとしての
結婚・約束という感覚の発見もまた、同じだなー、と思った。
約束を守れるかどうかより、約束したい!という熱量。
特別収録の詩「みみをすます」も、とても良かった。
箭内さんが浪人中に一日に一回音読してたというエピソードがあったが、
すごくエネルギーをもらったんじゃなかろうか。逆に言えば、
それだけ苦しかったのかもしれないが。
生きたくても生きられなかった人と、死にたくて死んだ人と。
ふたりはあちらの世界で、キャッチボールできるのだろうか。
亡くなったひとから受け取ったことばを、
ぼくは誰に投げ返せばよいのだろう。