旅、傷、地下鉄

たましいの場所 (ちくま文庫)


異動先のお店で研修。
初めて行く土地。初めて乗る電車。
初めて入る建物。初めて上る階段。
まるで、旅に出てきたような気分。


いいぞ。


読了。
ポール・オースター柴田元幸トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)』(新潮社)


「9.11」のことについての文章を読む。
あの事件から、ぼくはどれほどの痛みを受け取ったというのか。
それは、その他のさまざまな事件・事故についても言える。
ぼくは、自分の身に降りかかった火の粉でさえも、
気づかずにいることができるのかもしれない。


いや、そんな風に、極端なことを口走るのは、よそう。
丁寧に、ていねいに、想像することを手放してはならない。
あの日、テレビで見たツインタワー崩壊の映像が残した、
かすかな傷からにじみ出た血を見逃してはならない。


こんな僕でさえ、傷は受けたのだ。

「地下鉄」は、あの九月十一日から一か月経った二〇〇一年十月十一日、ニューヨークについて自分が愛するもののことを書くように誘われて書いたという。(p.335 訳者あとがき)


オースターの書く地下鉄の風景は、
ぼくにとってもなじみのある光景である。
僕が中学・高校と、通学に使っていた日比谷線もまた、
あるとき、毒ガスによって攻撃を受けた。


ぼくの日常にも、火の粉は降り注いでいる。
あの日は、たまたま終業式で、その電車には乗らなかっただけで、
いつまでも厚顔無恥で生きのびられる保証はどこにもない。


購入。
井上理津子『名物「本屋さん」をゆく (宝島SUGOI文庫)』(宝島社)
早川義夫たましいの場所 (ちくま文庫)』(筑摩書房


帯つきの、『たましいの場所』を見つけて、
ちょっと迷って購入。やっぱ、ぼくは帯がついていてほしい。


車中のとも。
原武史沿線風景 (講談社文庫)』(講談社


まえがきは運転席、あとがきは車掌席。
こういう遊び、大好き。運転席にて、
「東川端三丁目」という文字を見つけて、
びっくりする。同行者!


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
アリカ『京都ゲストハウス案内』(光村推古書院)
井上ひさし山藤章二巷談辞典 (河出文庫)』(河出書房新社
坪内祐三福田和也石丸元章(構成)『不謹慎 酒気帯び時評50選』(扶桑社)
吉田戦車まんが親 2―実録!漫画家夫婦の子育て愉快絵図 (ビッグコミックススペシャル)』(小学館