いい湯、さながら(幸福のかたち)

午前中、最後の仕上げ、と芝居を練る。
いつだって、ぎりぎりだ。ひとりでいると、
どうにも怠けてしまうから。そんなとき、
長谷川書店さんからのメッセージに気づく。
とても嬉しい気持ちになる。よし、という気持ちも。


とほんに着くと、大変な賑わいだ。
スナガワさんや奥方さまにご挨拶もせず、
なんとなく店内のひとたらい市を眺めたり、
本に視線をやったりしていると、
長谷川さんがいらした。


向こうから、モリグチさんもやってきた。
他愛のない話。暖かな陽射し。幸福のかたち。
ポイポイ大会をとりしきるスナガワさんにご挨拶。
さっそく、ポイポイさせていただく。楽しい。
絵本を置いている出展者さんのところに、
さっと近づく長谷川さんの鋭さに、
ムムっとなる。


K-COFFEEさんのコーヒーを飲む。美味しい。
ひとり芝居の立ち位置などを簡単に確認する。
とほんさんのお店を覗いたり、神社の境内を見に行ったり、
おしゃべりしたりするうちに、いい時間になったので、
金魚BOXの前で、ひとり芝居をした。


思いがけず子どもさんが多く、その点ではやりやすかったのだが、
そうとう、緊張していたのだろう。テンションを張りすぎて、
終わってからしばらく、胃のあたりが痛かった。


演目は、にんじんだいこんごぼう
さんまいのおふだ、金の本、銀の本。


終わってからもゆるゆると、とほんさんの中で過ごす。
天井近くに掲げられた、いろいろな人の「とほん言葉」も見る。
モリグチさんも長谷川さんも、すぐに自分のを見つけたのに、
ぼくのはなかなか見つからない。諦めたり、また探したり、
そうしてようやく、神棚(?)の近くに、見つけた。
「空腹と、ほん」。そうそう、おなかすいた。


購入。とほん。
山吹草太『5つのパンと2匹の魚―詩と短編戯曲集』(朱鳥社)


いったん、空腹を癒しに、駅の方へ出る。
奥方さまに教わったアランカフェに潜入するも、
食べ物がことごとく売り切れていて、長谷川さんの胃袋から、
悲鳴があがったような気がした。ケーキとコーヒーを食す。


暗くなってきた道を、とほんへ引き返す。
「のほほんとほん」西尾勝彦さんのイベントに参加。
お話を聞き、詩の朗読に耳をすます。遅れての参加だったので、
隣りの部屋からのぞき見る感じだったのだが、その距離感が、
詩と、自分の中のこころの思いと、ほどよく響きあって、
ゆったりとした気分で、本に囲まれた夜であった。


ご歓談タイムが終わっても、ずっとずっと、しゃべっていた。
放課後の部室でだらだらとしゃべっているような感覚だろうか。
そんなこと、したことないけれども。幸福のかたち。
スナガワさん一家と、3人のおじさん。


なんというか、「いい湯だった」と言いたくなるような、
からだが温まった一日であった。こころの温まった一日であった。


とほんさんとk-COFFEEさんの、
ますますの商売繁盛をお祈り申し上げます。