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2010-10-24 あめですねん

[][]サロン・ド・マロリーナ サロン・ド・マロリーナ - 適当に遠くまで来た渡り鳥 を含むブックマーク サロン・ド・マロリーナ - 適当に遠くまで来た渡り鳥 のブックマークコメント

http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/salon/


●文芸同人誌「サロン・ド・マロリーナ」創刊号

サロン・ド・マロリーナ


主催である竹内みちまろさんと感想を書く約束をしたので全作品の感想を書きます。


「革命、憂国、あるいは、太陽」竹内みちまろ

緻密な描写から主人公の竹内くんが周囲を丁寧に眺め経験を心のうちに蓄積していく様子が伝わってきます。大学生くらいの年齢で何かなさねばならない、だけど何をすればいいか分からないと焦る気持ちは非常によく理解できます。

ただ読者としては見聞を広げたあとの次の行動に一番興味があったので、そこが語られなかったのは物足りなく感じました。またタイトルからもう少し政治的な話を期待したのですがそうでもなかったので、タイトルが内容にあっていないように思いました。


「やな場まで」塵芥川文之介

高校生カップルの青さが良かったです。最後がちょっとホモっぽいシーンだったので笑ってしまいました。


「樅の木」新木寿幸

高志の妹を思う気持ちがよく伝わってきた。ただもみの木は物語との関わりが薄く物語の中心にすえるのは無理があるように思った。


「花葬の影」和泉あかね

火葬場で働く若者の心情と小さな事件。

この作品が一番気に入りました。面白かったです。火葬場という特殊な職場ながら若者が仕事になじんでいくさまがあたたかい視線で綴られていて、視線のあたたかさがいいなと思いました。


「赤鼻物語」花川逍遥

話が途中で終わっている気がしましたが…読解力不足でしょうか?


空襲警報」中村鷹一郎

描写はコミカルでオチも面白かったが、物語の主題がよく分からなかった。


「純白の猫」久賀耕平

猫の描写がリアルで面白かった。子供の一人称なのにときどきおじさんみたいなことを言っているので違和感があった。


「2つのピアス」内藤了

ピアスを中心に物語がぐるりと転換したところが見事だった。多分作者は男性だと思いますが、女性の心情があまりリアルに感じられなかったので男性主人公の作品を読んでみたい。


「しっぺ返し」中村鷹一郎

構成がきれいです。一郎という子供の名前は今っぽくないですね。



全体的には掲載作のクオリティにかなり差があるのが気になりました。創刊号ということなので今後どう成長していくか楽しみです。

2010-09-23 すずしいんじゃないかな?

[][]書肆べう 書肆べう - 適当に遠くまで来た渡り鳥 を含むブックマーク 書肆べう - 適当に遠くまで来た渡り鳥 のブックマークコメント

http://bew.fc2web.com/bew/index.htm


●ながしろばんり作品集 

vol.4 「蕎麦とタヌキ」

vol.7 「彼の岸」

ながしろばんり(書肆べう)


ごく短い短編小説が一冊に2,3本ずつ収録されている。

vol.4収録の「蕎麦屋のズワイさん」が面白かった。87歳、認知性の蕎麦屋のズワイ婆さんが電車で男子高校生の柔道部員の尻を触って逮捕されたが実は…というお話。

あらすじだけ見ればなんだか不謹慎な話なのだけど落語を思わせる粋な語り口で下品にならない。楽しい。

それから造本がすごく洒落ていて好みである。挿絵もタイトルの配置も、空きスペースに文字が詰めこまれている感じも何もかも洒落ている。ちょっと真似してみたいと思っております。

2010-09-22 明日から秋めいてくるらしい

[][]ソベルテクァイユ、pot-pourri cafe ソベルテクァイユ、pot-pourri cafe - 適当に遠くまで来た渡り鳥 を含むブックマーク ソベルテクァイユ、pot-pourri cafe - 適当に遠くまで来た渡り鳥 のブックマークコメント

http://d.hatena.ne.jp/miitohikari/

http://uiyun.fya.jp/


ケフィアプラス+

三糸ひかり(ソベルテクァイユ)

高根ゆん(pot-pourri cafe)

ケフィア菌にかもされた古典文学の解説書、と言えばいいんでしょうか。

なんでケフィアなの?と疑問がわくもののセンスの良い古典のパロディに笑かされます。というか、この本に収録されている文章を作者の二人が執筆している姿を想像するだけでそのバカバカしい労力に笑いがこみ上げてきます。

文学好きならしのごの言わずに読むといいと思う。作者の意図に乗せられてみればきっと幸せになれます。



●MOJIの群レ

三糸ひかり(ソベルテクァイユ)

たいへん感想の書きにくい作品です。

一貫したストーリーはなく苦労して文意を追えば気まぐれにはぐらかされる。かといって読み込んでいけばなんとなく意味が分かるような気がする。読者は分かるような分からないような文章の中を作者の意図を求めてさまようことになります。

しかし、三糸氏の文章は美しく洗練されており、たとえ意味不明でも追いかけるだけの価値があります。読めば脳内物質が分泌され快感がもたらされます。

解説で三糸氏のドS具合について言及されていますが、これは正しい。読者を、美しい言葉を読む快感で誘っておきながら意味不明の砂漠に放り込む。これがドSと言わずして何と言うのか。読者は快感と苦痛を同時に与えられる喜びに打ち震えつつこの本を読まなければいけないのです。



●子どもには知らなくていいことが、ある。

高根ゆん(pot-pourri cafe)

夏休み、母親の出産を理由に田舎に住むおじの家に預けられた少年が経験する出来事。少年は夏の終わりに大人の世界に一歩足を踏み入れる。

田舎で過ごす夏休みの描写が濃密で良かった。夏の陽射し、波打つプールの表面、蚊取り線香、台所から漂う甘辛い煮物の匂い。子供が五感を大きく開いて全身で世界を感じている様子が伝わってきた。

できればもう少し謎解きをして欲しかった気もしますが、少しぞっとする物語の幕切れは見事で、とても面白かったです。


[][]下町飲酒会 駄文支部 下町飲酒会 駄文支部 - 適当に遠くまで来た渡り鳥 を含むブックマーク 下町飲酒会 駄文支部 - 適当に遠くまで来た渡り鳥 のブックマークコメント

http://books.doncha.net/hino-yutaro/


●囚われのきみと踊ろう

日野裕太郎(下町飲酒会 駄文支部)

確か無料配布されていたと思います。太っ腹。

村の成人儀礼であてのない旅に出たロータスはガラスのドームに封じ込められた村に出会う。村の住人ははやり病により死滅し中には若い兄妹だけが住んでいた…。

おだやかで淡々とした文章が心地よかった。ファンタジー世界の描写は幻想的で美しかった。特に冒頭のロータスと名前を呼ぶ声が聞こえるシーンがきれい。

しかしお話はちょっと悲しかったです。ロータスがカナエの世界にもう少し干渉できていればなあ…、と思ってしまいました。


[][]Lumie're Lumie're - 適当に遠くまで来た渡り鳥 を含むブックマーク Lumie're - 適当に遠くまで来た渡り鳥 のブックマークコメント

http://ameblo.jp/lumiere-torikubosakito/


●ラストワン#1

鳥久保咲人(Lumie're)

中編小説の序章ということなので感想割愛。



●Cogito, ergo, sum

鳥久保咲人(Lumie're)

就職活動中の若者が感じる閉塞感とその突破口。

前半、就職活動ステレオタイプな描写が続くのでこれが最後まで続いたら辛いな、と思ったのだけど、後半くるりと物語が裏返り見事な着地を決めたのには驚いた。面白かったです。

突っ込んで考えるとかなり猟奇的な要素のある話で、そんな爽やかに終わらないだろーと言いたくなるのだが、読後感の良さに乗せられてしまうので上手いと思う。

ただ個人的には、大人の世界に感じる閉塞感を打破するものは大人の世界に足を突っ込んでいる人であって欲しかったし、現実の世界から空想の世界に逃げてしまったような印象も持った。出来れば後半も就職活動と同じくらいの密度の考察が欲しかった。