群馬県のスタジアム問題

群馬県のスタジアム問題

この件についてid:SH77さんは、興味深い連載コラムを展開中なので、それはそれで是非とも読んで頂きたいのですが、やはりサッカー好き競馬者から競馬好きサッカー者となった者としては、この件についてメインに語るべきでしょう。

新設を求める意見で多いのは、キリンビール高崎工場跡地と、近年赤字が続く高崎競馬場の利用。
(引用者による略)
また、高崎競馬場の用地には地権者が複数存在し、誰か1人がゴーサインを出せばよいというものでもないらしく、困難が予想される。さらに云えば、赤字が続いているとは云え、群馬競馬界の中心である高崎競馬場を「サッカーのために潰してしまえ」では、あるスポーツ文化を起すために、他方のスポーツ文化を犠牲とするということにもなりかねない。その選択肢しかないわけでもないのだから、別の道を探すべきと、自分は考える。

おそらくこんなとんでもない話しがあがってるのは、多くの競馬ファン地方競馬マニアでも地元の人以外はあまり知らない話題だと思うので、紹介しておきます。
いや本当にヒドイ話しなんだけど、まず完全にサッカー側の方であるid:SH77さんが反対を表明してくれるのは非常にありがたい限りです。
その上でまず競馬側の人間としてサッカー側の方に解説しておくべきことがあると思うのでお話ししておきますと、まず競馬場はJRAも含めて多くが貸土地であることが多く、潰したからといってその空き地を自治体が自由に使えるとは限らないのです。
中津競馬場は『廃止後は公園にする』ということだったけど、中津競馬場の地権者は一人だったにも関わらず、『競馬場として使うことが賃貸の条件』という条項が土地契約にあったらしく、競馬場廃止に伴って賃貸契約そのものを地権者によって打ち切られています。
高崎競馬場の場合は複数に渡っている場合は、もしかしたら高崎競馬で馬主になっているような人もいる可能性があり、下手をしたら競馬場はなくなったけど、サッカー場も出来ずに空き地が出来てしまう危険性も指摘しておきます。*1
そしてSH77さんも指摘しているように、一方の文化を潰しておいて自分たちの文化を主張するようなことは絶対にあってはならないことで、競馬ファン全員を敵に回す覚悟がないんだったらこんなのは話題にあげない方が良いとすら思います。
競馬場の赤字の問題はこれは競馬ファンならある程度の見識があればみんな知っていることなんですが、地方競馬はどこの競馬場もこれまで何十年にわたって、何百億という黒字を地元自治体に落としてきました。それをここ数年の数億、数十億の赤字を理由に廃止するのは、関係者のこれまでの努力を考えればあまりにもご無体ではないかという点、そしてJRAと違い地方競馬は黒字時代もそのほとんどを地元自治体に持って行かれて、競馬のためにお金を使うことが出来なかったのが、企業努力をしようにも出来ない、また厩舎関係者などはともかく競馬場の職員は全員地元自治体からの出向で競馬場のことを考えるスタッフがいなかったということが、近年の赤字の理由であることは指摘しておきます。
そしてここ数年が赤字だから潰そうということで競馬場を潰したら、サッカー場やサッカーチームだって、それまでの黒字や地元への文化貢献など顧みられずに、サッカー場やチームだって潰されるかもしれない、少なくともそういう下地は作ってしまうということも指摘しておきます。
長くなってしまいましたが、とりあえず競馬場がここ数年赤字だから潰すという議論は、無茶苦茶だということだけは非競馬者の皆様にもご理解頂ければ嬉しいです。*2
Jリーグ参加条件のスタジアム規約の問題については、皆さん話題にすると思い、あえてスルーし競馬ファンサイドの視点でこの問題を語ってみました。

*1:少なくとも競馬ファンは間違いなくそう言うでしょうね。

*2:あと現時点で赤字でも、将来的にJRA行財政改革の一貫として赤字競馬場の借り上げということをする可能性が出てきている以上、競馬場のままおいとくというのは将来的に美味しいと思うんですけどね。