『NHKスペシャル「人事も経理も中国へ」』

NHKスペシャル「人事も経理も中国へ」

昨日の放送で、偶然に見ていたんですが、凄い空寒いモノを感じてしまいました。ニッセンを責めるのは筋違いとは思うんだけど、ただこういう「ヒドイ虐めの構図的なリストラのやり方」とかをテレビカメラが入っている所でお見せするというのは、ニッセンの企業イメージの作り方とか、こういうのは見せてもお客さんには何とも思われないだろうという姿勢は、僕の中では凄いイメージダウンに繋がる話のように思えました。アウトソーシング云々より、リストラのやり方のエグさ、そしてそれを外部に見せちゃえる鈍感さというのが、気持ち悪い会社だなという印象を持ってしまいました。

アウトソーシング : 【B面】犬にかぶらせろ!

で、本質的な件ですが、これはもう完全に国が事態を重く見ないとダメな事柄でしょう。例えば海外のアウトソーシングに対して大きな関税をかけるとか、海外への外注依存度が高い企業に対しては、日本の法人が優遇されている一部の税金の優遇を停止するなどの措置が必要なのではないでしょうか?
今回はニッセンの現場で首切りや大連へのアウトソーシングを仕切っている担当者のエライさんが、矢面に立っていたけど、それを指示している経営者が影も形も見せないという卑怯さも気になったけど、こういう事態を静観している政治家というのは、どういうことなんだろうかと思います。
日本の伝統的な国体を守るべき保守政治家からしても、労働組合などを母体とした日本の庶民の生活を守るべきリベラル政治家からしても、この事態というのは、全く違う側面から憂慮するべき事例の筈なのに、政治がこういう問題について動く気配がないというのは、いかに日本の保守やリベラルがエセであるかというのを現しているということでしょう。
しかしこれが本当に日本企業の国際競争力になるんでしょうか? トヨタは日本国内で車が売れないという話が出ていますが、ニッセンなんて日本人相手にしか物を売っていない企業が、日本国内の雇用を減らしてしまっては、自分で自分の首を絞めているのではないでしょうか?
しかしこんな番組が放送されたら、フランスとかだったら、出てきた企業に対する激烈な不買運動につながったんじゃないのかな? やっぱり日本が一番「チャイナ・フリー」という運動が必要な国だと思わされた番組でした。物だけじゃないというのは恐ろしく感じたし、これは日本はもちろんだけど、中国にとっても良い道筋なのかというと、微妙な所だと思います。
資本主義国家における、企業のノブレス・オブリージュというのは、一度きちんと論議されないといけないのかも知れない。