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親方、これ何ですか?


この商品は「墨差し」と言いまして、木造住宅の構造体の墨をつけるのに
線を引いたり字を書いたりするなくてはならない道具です。
先日、ある大工の親方と接客中の時、別の大工の親方と経験年数5年目ぐらいのそのお弟子さんが来店し
店内を物色していましたら、この商品をお弟子さんが見つけ、
「親方、これ何ですか?」
それを聞いていた別の親方も私も番頭も開いた口がふさがらず、
お弟子さんの親方は、恥ずかしいやら、言葉を失ったような感じで・・・


数年前なら墨差しを使わせて頂けるようなら大工として成長した証のようなものですから、
それを親方が教えていないと言うことは・・・一年生ならまだしも と言うところですが、
実は今、構造体の加工(この辺の業界では「キザミ」と言います。)はほとんどがプレカット。
手で墨付けをして手で加工する物件なんて全体の2%ぐらいでしょうか。
当然、ほとんどの親方はキザミをしないので、お弟子さんが墨差しを知らなくても仕方ないでしょう。


しかし、プレカットで出来ない加工もプレカットが請けています。
どうして出来ない仕事を請けるかといいますと、
「できない」と言うと「出来ます」と言うプレカット屋に仕事を取られてしまうので
墨付けできる大工さんにプレカット工場でキザミして頂いて仕事をしています。
こんな建築事情が10年以上続いています。だから、40歳以下の大工さんでキザミの
能力のある人は1割ぐらいしかいません。あと20年ぐらいたったらどうなるんでしょうか。
プレカット工場の手加工大工さんや寺社仏閣あるいは小さな増築などはどうしても
キザミの能力のある大工さんが必要です。
これはこれからの日本の建築業界における宿題でしょう。