日本文化の形成 宮本常一
- 作者: 宮本常一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/07/09
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 92回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
下手くそな日本語使うミステリーなんかの数十倍は、面白い。
だんだんと謎を出していって、文献から該当要件を提出していって、最後に〜〜ではないのか? とまとめる。
日本は稲作文化だけど、それ以前に海洋民族としての文化がある。それは、建物の様式にも残っている物がある。とか、非常に興味深かったです。
やっぱり、フィールドワークしてる人の発言ってのは説得力を持つもんですねぇ。
縄文文化の末裔はエビスであり、蝦夷と書いた。蝦夷はエミシとも呼び、蘇我蝦夷は中大兄皇子や中臣鎌足に殺されるまでは大和は飛鳥地方の大豪族だった。とか、エミシは毛人とも書き、毛深かったんだろうとか。北海道や東北以北の地をエゾ(蝦夷)と呼ぶのは、南方から渡来した弥生人に場所を空けつつ移動していったのだろうとか……。
なにかと、益ある本でした。
他にも、「神の祭祀に直接たずさわる者を「殿上人」と呼んで「地下人」と区別した。床の上で生活し、外出する時は牛車にのって、可能な限り「土」と接触しない様にした。」このような記述があるのですが、J.S.フレイザーの『金枝篇』なんかでもそのような記述があるのですが(東南アジアの王族の話で登場してたはず。)、宮本常一は「舟住居」で棲んでいたことの名残では無いかと理由を付けている。説得力があってなるほど!と思ってしまった。