2011-07-10
学習支援ボランティアについて
以前から「経済格差を学力格差にしない」方法を模索していました。
塾に入るにはカネがかかる。
入れなければ進学で差がつく。
それは教育の在り方として正しいのかどうか、悩んでいました。
ただ、私はエリート教育は否定しない立場です。
才能があるならば、早く高いレベルの教育を受けて「世界の頭脳」になってほしい。
実際にそういう生徒に出会ってきて、ハイレベルな私学の存在意義には納得しています。
一方で、勉強の遅れを取り戻す機会がなく、塾や家庭教師に頼ることもできず自信を無くし、ドロップアウトしていく子どもたちをどこかで防げないか。
その対策の一つとして、高校での進路講演を請けてきました。
もう一つ、最近出会ったボランティア団体のサポートをしています。
ボランティア団体「arch(アーチ)」は、児童養護施設での学習支援を行っています。現在は1施設のみですが、今後は大阪を中心に支援施設を広げる予定とのことです。
多くの子どもたちは、入所前の学力の遅れを引きずっています。
家庭学習が身につく環境になかったためです。
大学進学率が半数に及ぶ日本で、施設の生徒の大学進学率は10%を切ります。
先日、イギリスの児童養護との比較研究について津崎哲雄先生(京都府立大学公共政策学部)の講演を聴きました。
イギリスでは「子どもたちを納税者にして社会に送り出す」ことを目的に、積極的に学習支援やキャリア教育を行っています。その結果、高校進学率や就職率が一般家庭の子どもより高いという、日本と逆の現象が起きています。
講演を聞いて、日本の児童養護施設のシステムは原発問題に似ていると思いました。
子ども1人が入所すると、国から1人当たり25〜30万円程度のお金が入ります。
施設経営者たちは、施設に多くの人数を詰め込み、職員は若手を中心に安い賃金で使います。海外の研究者が日本の児童養護施設を見て、「これは施設じゃない、孤児院だ」と言ったそうです。国際基準から見て、格段に遅れているのが日本の児童養護施設の現状ですが、タイガーマスクが話題になってもその現状はマスコミになかなか取り上げられません。既得権益を手放したがらない経営者は多く(もちろん誠実で子どもたちのために精一杯務めている経営者もいますが)、なかなか根本的な改善には至りません。
そして「責任を誰も取らない」点も、日本の児童養護の特徴です。
15歳なり18歳なりになるまで、施設で過ごした後の追跡調査は行われません。
津崎先生曰く「何人がニートになり、何人が10代で妊娠し、何人が再び自分の子どもを養護施設に入れているか」といったデータが出てしまうと、施設が責任を問われるから「調べない」のです。
イギリスには「社会で育てる」という概念があります。
現在3万人もいる児童養護施設の子どもに対し、私も同じ日本という社会の一員として、何かできないかと考えています。
学習支援ボランティア「arch」の活動を支援することから、初めてみようと思っています。関心のある方はぜひ、お気軽に説明会に参加してみてください。
◆arch 7月の説明会情報
http://arch0417.blog94.fc2.com/blog-entry-20.html
《追記》
私自身は、今までボランティアを積極的にやってきた人間ではありません。教育や社会貢献にハマり過ぎて家庭を崩壊させる人を見てきたこともあり、前から「できることを、できる範囲で」気軽にできる空気が日本のボランティアには少ないと考えていました。「偽善」と言われることの恐れや、日本人特有の「照れ」も原因かと思います。
ただ震災を通じて、地域社会の大切さや人を助ける意義を実感した人は多いはずです。そして、私もその1人です。
私にとって自分の家庭と娘が一番大事な存在です。
次に、対価をもらって行う「仕事」に責任があります。
その上で自分の使える労力や時間を、ボランティア活動に使えればというスタンスで取り組んでいます。
できる範囲で、できるだけ、少しでも。
特に教師を志す学生には、貴重な経験になると思います。
リーダーの方を含め、私以外は全員学生で10〜20代の若いメンバーです。
ああ、若いっていいなぁ、と彼女たちの熱意に打たれて思う日々です。
