ノブをまわすと―映画・演劇日記―

2018-04-07

「ゼロの未来」

ゼロの未来(字幕版)

英・ルーマニア・仏・米/'13年製作/テリー・ギリアム監督


すべてを管理されているプログラマーが人生の意味を知るまでを描く。

めくるめくギリアム世界。神経を逆なでする造形と色使いに悪酔いします。修道院に住む敬虔な修行僧は、まるで高校生のように恋と友情を知ることで遅い第一次成長を遂げる。現代社会をファンタジー仕立てで切り出す批評性にゾクリとしながら、ワンダーランドに迷い込む感じが楽しい。

クリストフ・ヴァルツメラニーティエリー。

ゼロ・グラビティ

ゼロ・グラビティ(字幕版)

米/'13年製作/アルフォンソ・キュアロン監督


宇宙で事故に巻き込まれた女が地球生還しようと奮闘する。

前評判どおりビジュアルワークには目を見張るところがあれど、その技術力だけで一本の映画にしようとするのは無理がある。テーマパークのアトラクションのような感覚で、いうなれば体験型映画。宇宙という極限状態でのパニックを共有しているような。だったらVR体験コーナーで観てみたい。

ジョージ・クルーニーの幻影によってサンドラ・ブロックのたくましさが覚醒するのが面白かった。

2018-04-01

海街diary

海街diary DVDスタンダード・エディション

日本/'15年製作/是枝裕和監督


海の見える街に住む3姉妹のもとに、再婚先で死別した父親の残した少女がやってくる。吉田秋生の同名漫画の映画化です。

優しくてダメな父親は家を出て、再婚を繰り返す。離れて暮らす母親はいつまでも子供のよう。そんな親を憎んでいるしっかり者の長女は不倫、ガサツな次女は失恋、三女は山男の背中を負う。身近な人の死を重ねて描きながら、生きることの難しさと、その瞬間のかけがえのなさが丁寧に織り込まれていました。

原作とは異なるキャラ設定。役年齢順に、綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すず

2018-03-29

[]「スリー・ビルボード

英・米/'17年製作/マーティン・マクドナー監督


娘をレイプ殺人で亡くした母親が、街頭広告を打ったことから巻き起こる事件を描く。

被害者遺族の哀しみと怒りは幾ばくか、当事者でなければわからないところはあるとは思いますが、この主人公には全く感情移入が出来ず。時には暴力も辞さず信念を貫き続けた女が、最後に迷いを覚えたこと。事実は一つであっても、正しいことは一つではない。それだけが救いでした。

気丈にふるまう主人公をフランシス・マクドーマンド、出来すぎる警察署長をウディ・ハレルソン。

2018-03-24

[][]「寿歌」

日本/公演中(マチネ)/愛知県芸術劇場・SPAC共同企画(北村想作、宮城聰演出)


核戦争を彷彿とさせる世界で、リヤカーをひく旅芸人一座のやり取りを描く。北村想の戯曲をSPACの芸術監督である宮城聰が演出した作品です。

以前に加藤健一事務所版*1を映像で観ての劇場初観劇。8の字を描く果てのない道を、3人の道化がリヤカーを押す。フェリーニの『道』を彷彿とさせる風貌の男女と、視覚的にわかりやすい姿をしたヤスオ。もっともっと言葉が客席に届いてほしかったし、一緒にモヘンジョ・ダロを目指したかったです。

奥野晃士、春日井一平、たきいみき。

*1:過去の日記参照→id:totte:20080725

2018-03-22

幕末太陽傳 デジタル修復版」

幕末太陽傳 デジタル修復版 DVD プレミアム・エディション

日本/'57年製作/川島雄三監督


宿に無一文で居座る男と、幕末の志士や宿の人間たちの繰りなす喜劇。日活100周年を記念してデジタル修復されたバージョンです。

いくつかの落語を組み合わせたようなストーリーでしたが、いまいち素養がないためわからず仕舞い。軽快なタッチで描くドタバタ時代劇かと思いきや、製作当時の品川の風景と比較する冒頭からはじまり、志士を利用する男やたくましい女たちなど、非常に現代的な切り取り方をしている部分も多く。今観ても遜色ない作品だと思います。

フランキー堺の独壇場。とはいえ他の出演者も豪華。