ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「ぬるい毒」

日本/'13年公演/劇団、本谷有希子(本谷有希子原作、吉田大八作・演出)


地方の箱入り娘が東京の男と出会い内面にある"毒"を醸し出し始める。劇作家本谷有希子による野間文芸新人賞受賞小説を映画監督の吉田大八が舞台化したものです。
思春期をこじらせた女の等身大のドロドロ。誰にも馬鹿にされたくないし傷つけられたくないというヒリヒリした痛みがえげつなく描かれる。ただ本当に怖いのはそれらの感情に「あるよね」と相槌を打ってしまう自分がいるということと、そういう感情を愛おしく思っているであろう本谷の筆なのでした。これを「ぬるい」と表現するその性格の悪さにはもう脱帽するしかない。
夏菜じゃない女優にした方がインパクトは強烈になると思うけれど、夏菜だったから観れたのかもしれません。立ち直れなくなる。