2006-09-23 ロベルト・シューマン ロマン主義と古典主義
■ ロベルト・シューマン ロマン主義と古典主義
熱狂的なロマン主義の前衛であったシューマンが、どうして古典主義的系譜としてのメンデルスゾーン、 シューマン、ブラームスの列として論じられるようになったか、ある意味どうして古典主義に歩みを戻すようになったかが、私には分りにくかったのですが、丁度、吉田秀和の『主題と変奏』(中公文庫)の「ロベルト・シューマン」の章を再読していて、その中で見事にそれを分析して興味深いものでした。 吉田秀和の文章は、内容が深いのに分りやすい文章ですから、多くの人が魅入られるのでしょう。 私の印象に残ったところを抜粋してみます。
しかし、彼(シューマン)は分ってきたのだ。バッハやベートーヴェンの偉大さがどこにあるかが。 ひたすら自分の魂の奥から音を汲みだすのとは違った道のあることが。 彼は独語したに違いない。 「そうなのだ。 画家がいかに天与の独特の色彩感と鋭敏な特異な感覚に恵まれていようと、 結局デッサンや構成やの力の蓄積がなければならぬように、音楽にも音楽的思考のゆるがすことのできぬ土台がある。 何世紀にわたって本当の所で仕事をしてきた一流の画家たちには、一枚の絵をかくにしても、対象から何から自分の思いつきで勝手に選ぶことができなくなってしまう事情があるらしいが、 そんな風に、音楽でも、何世代にわたる真の大家達の仕事をみると、彼らには、新しさとか特異性とかに頼りかかって製作することが、子供くさくて許せなくなってしまうような事情が自然に生じてくる。一流の古典家たちは、独創性と言うものを、近代人のように気にしていなかった。 シェクスピアも、ロンサールも、ミケランジェロも、ペトラルカも、自分たちが発明した訳でもないソネットによって詩をかいた。 またそのようにして、バッハは時代の潮流とは逆に、ますますポリフォニーの世界に沈潜し、ベートーヴェンはソナタ形式を固執した。自分もその道をゆこう。 自分がそれに成功するかどうか分らぬ。 だが、ロマン主義音楽家はこのままでゆけば、音楽に大きな頽廃をもたらすということは、はっきりしている・・・・・」 と。 自然のどこかに本当の創造の国への道がかくされている。そして、一流の古典にはその秘密がもっとも純粋にもっとも豊に含まれている。 これを手本にその秘奥を追求しているうちに、いつかその仕事には追求する者の影が宿されてゆく。 個性とは元来そうしたものだ。 (略) しかし、時代はいつも自分たちのチャンピョンを声高く求めている以上、恐らくいつの時代でも、一流の大家とは、その時代と戦い、そこから自分を救いだした人なのだろう。 それがまたかえって、彼らの永遠の芸術に、根深い時代性を与えるのだ。(『主題と変奏』(中公文庫、吉田秀和, p.37-38 )
- 作者: 吉田秀和
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成瀬巳喜男がはいっていませんね。どうでもいいような作品もいっぱいはいっていますが、ランキングというのは参考以上のものではないと、改めておもってしまいます。
ほんと「酔拳2」は、おもしろいけど、ランクインしてるのが、不思議です(笑)。
「雨月物語」は、しっかり頷けますね。