武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

『プロ級ナンプレ』ウェイン・グールド著(発行角川文庫)

 <ナンプレ>とも<数独>とも慣れ親しんだので、PCプログラム作成の最も難しいレベルのナンプレに挑戦してみるため、この本を購入。552円で200問あるちょっと厚めの文庫本、コストパフォーマンス(費用対効果)はなかなか。

 内容について、これは相当に難しい。100問のうち仮定法を使わないでできた問題が、私の場合たったの18題、中には仮定法を2回使ってやっとできたのも少なくなかった。191問から200問目までは超プロ級編10問、こちらも仮定法なしでできたのが2題、全体をみると、8割程度が仮定法なしではできない高レベル。
 1問完成するのにボールペン(論理的に間違いなく確定できて消す必要のない数字)と鉛筆(仮定法を使うので消しゴムで消して書き直すかもしれない数字)を使って、20分以上かかる。20分間の集中力たるや、頭の隅っこが部分的にひどく緊張を強いられている感じがして、眼球周りの神経と筋肉にまるで肩こりになったような疲労感が蓄積する。この緊張と集中がたまらない快感。
 全く何も生まない、時間と脳と筆記用具の無駄使い。リタイヤしていなかったら、こんなに時間をかけられなかったのではないかと思われる面白パズル。
 このパズルの効用と言えば、飛行機の中、パソコンの起動待ち時間、飛行機の乗り継ぎ待ち時間、鍋にお湯や煮物をセットしてタイマーを使っている待機時間、そんなどうしようもない待ち時間にさっそく取り出してチョイとひと遊び、確実に時間のゆるやかな流れをワープしているから凄い。
 この本は、そんな時間の使い方を、たっぷり提供してくれる、ほんとうに費用対効果の高い本です。待ち時間が嫌いな方、是非手にとって見て。