武蔵野日和下駄

10歳から続く乱読人生、年季の入った活字中毒、頭の記録メディアがダウン寸前、記憶のダイエット装置

 朝のワンプレート(24)

 《飽きのこない食事》
 『わたしの献立日記』の沢村貞子さんは、食事の組み立てで一番気を遣い苦労したのは、飽きないように献立に変化を持たせる工夫だったと書いている。従来からの和食のパターンである一汁三菜のような組み立てを基本にしていると、主菜1品プラス副菜2品のスタイルとなり、油断すると単調との誹りをまねきよせることになりかねない。よくある主婦の悩みである。
 日本の伝統的な庶民の食事は、一汁一菜が普通だった、一汁三菜ともなると祝いの日など特別な日のご馳走だった。それが日常化して、普段の食の形態として普及していったようだ。それを飽きるなどと言うのは、まことに贅沢な話だが、でも飽きるという現象は致し方ない。
 私が作る朝食では、メインとなる主菜なるものを作らないことにしている。その代わり副菜ばかりを沢山これでもかとばかりに並べることにしている。代わり映えしない品ばかりだけれど、10品近く並べると、それなりに豪華な感じがでて食卓がにぎやかになる。隣同士の色を変えることによって色彩に変化をもたせ、味は一品ずつ違うので、タレやかけ汁を数種類準備しておくと、さらに変化は複雑になる。
 品数が多いのと彩りと食材の変化が複雑になるので、5年以上続けても飽きたという話はまだ誰からも出てはいない。作る方としても覚えておけないほどの組み合わせになるので、いつの間にか毎日が微妙な変化の連続になってしまった。
 配膳の仕方にパターンを作ってしまうと、同じ献立を大量に作るレストランや料亭では都合が良いのかもしれないが、数人分のお膳しか整えない家庭ではマンネリの受け皿になってしまう。料理の並べ方はその時の都合でどうとでもなるはず、料亭を真似した作法などと堅苦しいことを言わなければ、品数さえ多くすればその時の気分で自由な食のレイアウトを楽しめていい。
 かくして一汁十菜(これ以上はワンプレートに乗らない(笑)前後の、気儘な朝食を飽きもせずに毎朝楽しんでいるという次第である。


 前置きはこれくらいにして、朝の献立を紹介してゆこう。

5月某日の朝食(上) ・味噌汁(豆腐、油揚げ、千切りダイコン)・ご飯・小松菜のおひたし・カボチャの温野菜・サヤエンドウの温野菜・トマト・ブロッコリーの温野菜・カリフラワーの温野菜・茹でキャベツの胡麻和え・サヤインゲンの胡麻和え・牛蒡のキンピラ・プレーンオムレツ・画像にはないがコーヒー入りホット牛乳


5月某日の朝食(下) ・味噌汁(ナメコ、切り干し大根、乾しエノキ、ネギ)・ご飯・セロリの白キムチ・カリフラワーの温野菜・サヤインゲンの温野菜・カボチャの温野菜・ブロッコリーの温野菜・トマト・茹でキャベツの胡麻和え・里芋の煮っ転がし・蕪の葉のおひたし・タクワン・プレーンオムレツ・画像にはないがコーヒー入りホット牛乳