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デザイン探検家の記録

【書評】井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法

日本国憲法の中でも特に前文と憲法第9条について、
子どもにも分かりやすく文章を再構築し、
いわさきちひろの絵を交えながら本全体を構成している。

前文を井上ひさしが書き直した文章は、丁寧でわかりやすく、
子ども達の素直な気持ちに響くような印象を受ける。
それと平行して、いわさきちひろの子ども達を見つめる、
優しいまなざしは感性に響くような印象を強める。
そして優しい絵本のような印象でありながら、
子ども達に伝えたい内容は日本国憲法の決意であり、
戦後日本の抱いた未来への強い意思である。


私は広島に生まれ、広島県平和教育を受けて育った。
核廃絶と戦争の放棄は私自身に強い影響を与えている。
世界で唯一の被爆国として、日本の立場と言うものがあると思う。
悲惨な戦争を経験した日本にしかできない発言があると思う。
核武装論、憲法9条の改正が議論されるたびに、
世界の中で、数ある国々の中で、唯一無二の立場であることを自覚すべきではないかと思う。それは世代を超えた戦争責任にも通じる。


戦争を経験した人々が過ちから学び、
未来に対し誓った宣言文として
今も日本国憲法は存在している。


広い世界の中で日本国民が築き上げようとした理想を、
我々が裏切ってはならない。


八月に入り戦争について考えた。