昨日の出来事

 先日読み終えた堀江敏幸さんの「ゼラニウム」のなかに、「消極的な人間」という言葉がある。消極的な人間の定義は何か、と訊かれても困るけれども、世の人びとを積極的な人間と消極的な人間に強引に(それでいて説得力のあるように)分けるとすれば、どう考えても自分は後者で、少なくとも、消極的な人間であることのほうがかっこいいと思える程度には消極的な人間であると思っている。昨日は、そんな自分が、積極的な人間(この場合、「出しゃばり」が一番ぴったり来る類義語かもしれない)の話を長時間聞くはめになって大いに疲れた。しかも、こちらが確認のために何かを質問すると、「ですからそれは」を連発。自分の理解不足はさておき(都合いいっすね)、文頭の「ですから」ほど失礼な物言いはないと思うのだけれど、しまいにはむっとして、こぶしで机をたたきつけ、「もういいや」と自分でもびっくりするくらい投げやりな言葉を発しながら席を立った、というのはおそらく積極的な人間のすることで、僕は隣の席にいたRさんに手帖の隅に書いたその5文字を示して苦笑しながら同意を求めることくらいしかできない消極的な人間なんです。
 仕事帰りに本屋併設型CD屋に寄る。遅ればせながら、ダカーポ(文庫本特集)を買う。堀江敏幸さんが『柿の種』(寺田寅彦岩波文庫)を挙げておられたのを見て、よろこぶ。自分の愛読書でもあるので。これを僕に薦めてくださったのは大学時代の科学技術論(いまでいうSTSか)のセンセイ。珠玉の小品集というのがぴったりの一冊。それから、文庫本の一ジャンルとして、官能小説にもページをちゃんと割いているのがダカーポらしくていい。あと、GQも購入。GQを買うってなんとなく恥ずかしい気がするのだけれど、オーダーメイドのスーツに関する記事に興味があって。もちろん、誂えるお金はありませんけどね。それから、キース・ジャレットの「レイディアンス」を衝動買い。家までの道すがら、しまった、何で輸入盤探さなかったんだろう、と思ったのだけれど、帰宅して価格を調べてみて300円ほどしか違わなかったので(amazon.co.jpで)、ほっと安堵する(小心者だなあ、ったく)。

Radiance

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プーランク:ホルンとピアノのためのエレジージェイムズ・レヴァイン&アンサンブル・ウィーン=ベルリン)→Dream(小野リサ)→Moonlight Serenade(ナラ・レオン)→モーツァルト:弦楽五重奏曲第5番第3楽章(バリリ四重奏団&ヴィルヘルム・ヒューブナー)→リスト:超絶技巧練習曲集より第4番「マゼッパ」(小菅優)→サン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」第2楽章第2部(ピーター・ハーフォード&モントリオール交響楽団シャルル・デュトワ指揮)→饅頭こわい(古今亭志ん生

DREAM

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