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2010-01-18

ハイパフォーマーの教科書にもなる「『日本で最も人材を育成する会社』のテキスト」


はじめての課長の教科書」の酒井穣さん @joesakai の最新作。今回は新書での登場です。


「はじめての課長の教科書」「あたらしい戦略の教科書」から一貫しているのは、「論理的かつ読みやすい」ゆえに説得力がある、という特長ではないでしょうか。実例や参照が絶妙で次々と読みたくなる一方で、引用していると、漢字とカナの使い方に気を使っているようにも感じます。


さて、本書は、人材育成プログラムが表のテーマですが、人事部門や経営層だけでなく、実は「ハイパフォーマーの教科書」として読めば、すべてのビジネスパーソンにとっても必読書になります。


成功を収めている、いわゆる「勝ち組」のビジネスパーソンを今ここに100名集めたとします。そして、その100名に対して「あなたを成功に導いた要員は何ですか?」とたずねれば、それぞれに回答が出されるはずです。・・・彼らを成功に導いた要員は「決して研修ではない」という事実です。5


日本において平均的な職務能力を持っている人材の選択は2つしかなくなります。1つは自分の職務能力を高めて、いわゆる「勝ち組」への道を目指す方法です。これは、昨今の勉強本ブームの原動力でしょう。もう1つは、キャリアを追い求める道を諦めつつ、自分の能力以下の仕事に甘んじる道です。これは別の言い方をすれば、キャリアとは別の道に自分の人生の目標を定める方法で、こちらは「スローライフ・ブーム(ロハス・ブーム)」の原動力になっていると考えられます。26


成長の実感はそれ自体が喜びであり、その喜びを得たくて皿に学ぶと言う好循環を生み出します。44


ダンサーとして、また振り付け師として成功したトゥイラ・サープ氏は、模倣こそが想像力の源であると言います。そんな彼女は、模倣の対象としている人のことを「インビジブルメンター(姿の見えない指導者)」と読んでいます。54


ここで人脈とは「誰を知っているか」ではなくて、「誰に知られているか」で決まるものです。55


行動分析学の世界では「60秒ルール」といって、他者の好ましい行動を強化するには、その行動が発生してからできるだけ早く(できれば60秒以内に)、その行動をほめたり、その行動に感謝したりすることが必要なことが明らかになっています。56


ハイパフォーマーは、物事に際しては十分な準備をして、リスクを極限にまで押さえ込んでからアクションを起こします。56


Aクラスの人材は、グループ・ダイナミクス(集団力学)にも経験的に通じていて、理屈を超えた人と人の相性にも敏感です。59


社内に学びへの情熱を持った人材が増えてくると、従業員同士が自発的に勉強会を開いたり、図書を推薦しあったり、研修の提案を持ってきてくれるようになります。ミラーニューロンの効果によって、学びへの情熱のパンデミック(大流行)を起こすことができれば、人を育てる社風は、比較的短期間でも醸成できる103


修羅場の経験がもっている教育的な本質は、「今までの自分のやり方の不備を自覚する」ことにあります。120


仕事術や成功術が多い昨今のビジネス書の中で、酒井さんは「中間管理職」「戦略」「人材育成」と次々と興味深く、読んでいて面白い、ビジネス書の中のビジネス書を生み出していきます。


どうして、こんなに面白い著作が連発できるのか?


「啄」とは、自分の殻を破ろうとする雛鳥に応じて、親鳥が雛鳥を助けようとしてタマゴの外側から殻をカツカツと突くこと。タマゴの殻は雛鳥と親鳥が「同時に」突いてこそ破ることができる。3


企業の存続になくてはならない「イノベーション」は、モノやカネではなく、自由意思を持っているヒトだけが起こすことができる8


退職者に対して、「これまで一緒にいてくれてありがとう」という気持ちを示すのが人として大切であるのと同様に、「次の職場ではもっと活躍してほしい」という意味も込めて、自社に転職してくる中途採用者向けに実施している研修のうち、転職者一般に適用できる部分については、自社を退社していく人材に対しても実施するべきではないか85


親鳥と雛鳥のエピソードに現れる、人の可能性への眼差しが、その根底にはあるような気がしました。


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