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2011-12-12

日本人なら知っておくべきおしゃんてぃーな働き方⇒『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル』

だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル


リノベーションなど「今風の」おしゃれ物件をあつかう「東京R不動産」と、「東京R不動産」で働く人たちをテーマに、会社にしばられない働き方を紹介した本です。


本書を読んで2つのことに注目しました。ひとつは東京R不動産というビジネスモデル、もうひとつはフリーエージェント的な生き方です。


東京R不動産というビジネスモデル

ひとつめですが、東京R不動産は、ビジネスモデルとして面白いなと思います。社員の報酬が成果に完全に連動していて、必ずしも出社の義務がないというマネジメントスタイルは、これまでにいくつかの事例がありました。たとえば、ある保険会社は、出社義務は週に2回の朝礼だけ、報酬は営業成績に完全に連動するという仕組みで全国展開しました。経験者をあえて採用しない点も同じだったりします。ほかにもセールス職にはよくみられる形態だと思いますが、どちらかというと「歩合制」といえば、ネガティブなイメージでとらえられていたかもしれません。


  • 東京R不動産の仕事には、空き物件を探して紹介していく「営業」と、記事などの制作やマネジメントの仕事などがある。この「営業が」東京R不動産のメインの仕事であり、バイヤー(目利き)、ライター(コラム書き)、ディールメーカー(案内、契約)などをすべてこなる「プレーヤー」である。プレーヤーの仕事は基本的に「歩合制」である。

なぜ、ネガティブな印象だった「歩合制」が、東京R不動産では、おしゃんてぃーなのか?その違いは、「クリエイティブさ」と「ゆるさ」というスパイスが加わっているからではないかと思います。


  • 彼は、髪型がアフロである。しかも、生半可なアフロヘアではなく、100メートル離れたところからでも識別できるほど強烈なアフロだ。
  • メンバーたちが愛してやまないテラスで、メンバーが何をしているかといえば、まずタバコを吸っている。〜中略〜いい季節にはハンモックで昼寝する。
  • テラスを使ってカレーパーティーや餃子パーティー、たこ焼きパーティーなどのイベントが不定期に行われるようになった。
  • 僕らにとって一番大切なことは、サイトを訪れた方が「楽しい」「おもしろい」と思ってくれることだ。無味乾燥な情報をただ載せるだけでは楽しくならない。価値のある情報を集め、それを魅力的に見せるようにサイトを「編集」することになる。

ウェブという媒体を中心にそえ、おしゃれな物件に絞ることによって(逆にトレードオフとして、リアル店舗や特徴のない物件を捨てた)、歩合制の不動産営業という仕事を、出版社の編集者的なクリエイティブな仕事に変えたといえるのではないでしょうか。そのビジネスモデルイノベーションを感じます。


ハンモック - 写真素材
(c) マイダスストックフォト PIXTA


フリーエージェントノマド

もうひとつはフリーエージェント的な生き方についてです。本書を読んで、フリーやノマドの位置づけについて、あらためて考えてみました。


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まず雇用形態です。「(A)会社員」は、会社に所属して、毎日会社に出勤して、多少の変動はあるにせよ固定給をもらう人たちです。それに対して「(C)フリーランス」は、会社に所属せず、特定の業務について業務委託を受けたり、プロジェクト的に参加したりする人たちです。


そして、その中間的な立場に「(B)フリーエージェント社員」があります。会社に所属していますが、毎日の出社の必要なく、報酬が成果に応じて支払われるような人たちです。東京R不動産は、「(B)フリーエージェント社員」に該当すると思います。フリーランスではなく、フリー的な立場で会社で仕事しているところが特徴的です。


つぎにノマドですが、最近流行しているこの言葉は、複数の意味で使われていると思います。「(1)会社員的ノマド」は、会社に所属していて、カフェなどで仕事することが認められている人たちです。「(2)フリーランスノマド」は、会社に所属していなくて、カフェや共同オフィスで仕事をする人たちです。電源があるカフェだとか、無線LAN環境といった情報は、この「(1)会社員的ノマド」と「(2)フリーランスノマド」を対象にしていると思います。


さらに一歩進めると、「(3)完全ノマド」の世界があります。高城剛さんのように、あるときはロンドン、あるときはバルセロナといったように、定住地を持たない生き方です。高城さんはインタビューで、不要なモノは捨て、書籍や漫画はPDFにしてiPadに入れ、映画は外付HDDに入れて持ち運び、世界のどこにいても同じ環境を実現していることを述べています。どこでもオフィスに加えて、どこでも住環境という訳です。


この「(3)完全ノマド」を実現するには、収入の壁が大きいのが現実です。世界のどこにいても収入が得られるようになるのは、並大抵のことではありません。思い出すのは、橘玲さんが「永遠の旅行者」などで提唱した「パーマネント・トラベラー(PT)」という概念です。投資資産運用は、ネット環境があれば世界のどこにいてもできるし、定住しないことで住民税を支払わないですむ、という生き方です。さきほどの図では、「(D)働かない」というグループで表現しました。もし、「パーマネントトラベラー」になれば、「(3)完全ノマド」の実現が近づきそうです。


 


個人的にはもうひとつ、「(A)会社員」だけど、ひとつの会社で一生を終えるのではなく、数年おきにいくつかの会社で働いていく生き方もあると思っています。これを「(A')縛られない会社員」とします。


「(B)フリーエージェント的社員」という仕事ができるのは、現実的には、クリエイターだとか営業職だとか、一部の人たちに限られると思います。たとえば、自動車を組み立てる仕事、コールセンターで応対する仕事をしている人たちは、「今日は出社しません」とか「カフェで仕事します」とか言えないわけです。世の中では、多くの人が、時間や場所を自由にできない仕事をしています。この人たちは、ノマドを目指すのではなく「(A')縛られない会社員」を目指してもいいかなと思っています。


「(A')縛られない会社員」になるためには、いつ会社を辞めてもいいだけの金銭的余力、会社に雇われるスキル、出世や体裁を気にしない精神力、などが必要になると思います。「いつ会社を辞めても困らない」という状況をつくることで、会社に対する依存性が下がり、精神的に楽になることができます。このあたりは、深く掘り下げると長くなるので、またどこかで書くことができればと思います。


  • 核となる仕事はずっと続けながらもそこから時々離れたり、新しいプロジェクトをつくり出していく。気持ちや感覚はフリーでも会社員でもなく、まさにその中間である。このかたちこそ、「働き方3.0」といえるのではないかと思っている。
  • みんな少しでもキャリアを積んで「上に」上っていこうと努力している。その努力は僕らもしていないわけではないし、悪いわけではないけれど、そもそも考え方から変えていった方がいいのではないかという気がしている。
  • あまり偉そうなことは言えないけれど、人生の軸はキャリアよりも「旅」みたいなものだという感覚がある。同じ場所にいる必要はなく、むしろどんどん新しい場所へ動いていけばいい。いつもグレードアップしなくてもいいそ、時には贅沢し、時には節約し、好奇心を高めて感動や刺激や出会いを求めながら、何かを見つけていけばいい。

エクス・アン・プロヴァンスの街中のカフェ - 写真素材
(c) 画像素材 PIXTA


一冊の本を読んで、これだけたくさんのことを考えてしまいました。それだけ、何かを訴えているし、たくさんの刺激を与えてくれる本だと思います。内容だけでなく、装丁やひとつひとつ文章がかっこよくて、「おしゃんてぃー。」な一冊、「おしゃまる」な一冊でした。


『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産フリーエージェント・スタイル』読了。TravelBookCafe

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