なにか文章が書きたいと思うのだけれどもなにも出てこない。憂鬱だ。

 最近、『たったひとつの冴えたやりかた』がぴんとこなかったので何年も手にとっていなかったジェイムズ・ティプトリー・ジュニアをまた読んでいるのだけれど、やはりあまり合わないのかもしれない。ひとつひとつ短編で見ていけばそこそこ気に入るものはあるけれど、最後の一押しになにか至らない。「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」だとかは好きだ。
 「たったひとつの〜」に関しても、同じようなシチュエーションならトム・ゴドウィンの「冷たい方程式」だとかの方が好きだ。

 好き嫌いがあるのはしかたないことだけれども、他のひとがいいと言っていたものが気に入らないのは残念な気持ちになる。楽しみを得られなくて損をしているような気持ちになってしまう。

 と思っていたら、『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』はすばらしかった。ティプトリーが好きなあのひとに話せることができてすこし嬉しくなる。