迷宮人生11 「真実」

あれから数日、私は学校を休んだ。
そして、気も落ち着いてきた。
よし、今日は元気にやっていけそう!!
・・・しかし、安心はできないと悟った。
早め早めに行動に移そう。
普段より20分早めに家を出た。

学校は殆ど静まりかえっていた。
それもその筈だろう。
しかし、私にとってはとても好都合なのである。
パラリ・・・とあのノートを開く。
兎に角、現実にならないようにするためには相当きついだろう。
さらには精神だってまだ不安定かもしれない。
充分に警戒すべきだ。
ノートをめくっていると、ガラガラとドアが開いた。
「あら?真有さん早いですね。おはようございます。」
春香さんだった。そしてもう一人入ってきたが、その表情が信じられなかった。

「実季・・・ちゃん・・・?・・・どしたの?」
「・・・・・・・・・。」
曇りがかった目、表情。
完全にいつもの実季ちゃんじゃなかった。
そして、あの夢が脳裏に浮かぶ。
まさに、正夢。
「な・・・何が・・・あったの・・・?」
「・・・説明してなかったよね。実季ちゃんはね、病気なの。
元々捨て子でまともに相手にされてなくて、不安定になったの。
加奈美がさ、最近学校に来ないんだ。
何も言わずにね。
普段は加奈美と一緒にいるから元気に過ごせたけど、突然ほったらかしにされたのが原因だと思う。」
「・・・そう・・・なんだ・・・。」
それ以前に正夢なのが信じられなかった。
このままいくと・・・彼女はナイフを常備しそうだ。
加奈美のヤツ・・・何やってんだよ・・・!!
ゾロゾロと教室に小学生達が元気に入ってくる。
それに紛れて、夏奈さんと彩も入ってきた。
「えっ・・・!?実季ちゃん・・・どうしたのさ・・・?夏奈さんで良けりゃ相談にのるよ・・・?」
「・・・もしかして加奈美ちゃんの事かな・・・?」
二人もやはり心配した。
自分はもう、警戒心だけしかなかった。
兎に角、殺される訳には・・・!!
「・・・ったく。病人をほったらかしにするとはねぇ・・・。夏奈さん信じられないよ。・・・って言いたいけども、加奈美だって理由は一緒か。」
「・・・そうだよね。加奈美ちゃんだって、疲れてるんじゃないかな。
毎日毎日甘えてもらって、自分の自由と時間を削ってまでなんだよ・・・?」
甘えるほうだって甘えさせる方だろ。
少しは病気と戦えよ、と言おうと思ったが口をつぐんだ。
・・・でも、実季ちゃんがしっかりしてないからこうなったんじゃ・・・?
だが、そうはいかない。
元々捨て子だって言ったな。
となれば生活していく知識は浅い。
誰かの介護が必要可決だろう。
「なあ、聞いてんの?真有?」
夏奈さんが問いかけてくる。
「へ・・・?あ、ごめん。」
「こんな状況にも関わらずに黙ってないでよ。こんな一大事にさあ・・・!!」
「ご・・・ごめん・・・!!」
「あんた友達を何だと思ってる訳・・・?
助けないの?ほったらかしなの!?
いい加減にしてよ。学校休んだりしてさ・・・!!」
「・・・さい・・・。」
「こっちだって心配で仕方がないんだよ!!大体夢なんだから・・・」
「うるさいなああぁぁッ!!!!少しは黙れよッ!!!!!!」
感情の塊をおもいっきり叩きつける。
「ひっ!?い・・・言い過ぎたなら謝るよ・・・。」
流石に唐突過ぎて吃驚はしただろう。
それに、もう今までの自分ではなかった。
この時、全員が敵に見えた。
そして、目眩が再び襲う。
そのまま床に倒れてしまった。
「・・・少し言い過ぎだよ、夏奈ちゃん・・・?」
「・・・去年と同じだ・・・。夏奈さん・・・進歩ないじゃないか・・・!!また、人に当たって・・・。」
「確かに去年は本当にショックだったよ。だから決めたんでしょ・・・?争う場合じゃないよ・・・!!」
去年て・・・何だよ・・・。
それだけしか頭になかった。

to be continued...