「意志」(will、やるつもり)は「可能性」(be able to、私はできる、できるんだ、できないことがあるものか!)と同義だ、と丸暗記させる英語教師がいるとしたら、そのポジティヴな未来認識は、既に「ゆとり教育」を先取りしていたのかなあ、と思う。すべての人間が、開花させ得る「才能」を内に秘めている世界。
「宿題やったの?」と問われて、まだだけれど、万事着々と進んでます(I'm going to)と答える者がいるとしたら、世界の成り行きと自らの行動をピタリとシンクロさせた勝ち組、エリートの感じがありそう。
「今やるよ」(=Yes, I will)は、30秒後に、「ああ親はウザい。いらんこと言われたから、やる気なくなった」とどっかへ遊びに行くかも。移ろいゆく決断主義。
そうさ、ぼくたちはそうなる運命なんだ、さあ行こう!のお誘い(Shall we?)とか、おずおずと未知の世界の扉を叩いたり(May I...)とか、そういうドラマは、本を読むより、会話のやりとりで生きているのかもしれない。
そっちのほうが楽しそうかな。
- 作者: 佐々木健一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/03
- メディア: 文庫
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