坪井香譲の文武随想録

時に武術や身体の実践技法に触れ、時に文学や瞑想の思想に触れる。身体の運動や形や力と、詩の微妙な呼吸を対応させる。言葉と想像力と宇宙と体の絶妙な呼応を文と武で追求。本名、繁幸。<たま・スペース>マスター

リラックスは奥深い / 随鏡記(1)

 指揮者の故小澤征爾氏は、ドイツのカラヤンアメリカのバーンスタインを師としたが、もう1人フランスの巨匠、シャルル・ミュンシュにも大きな影響を受けたと告白している。

 ミュンシュは、ある時小澤に「リラックス! リラックス! リラックス!」と三度も繰り返して強調したという。

 (Charles Munch)

 

 リラックスは奥深い。

 私たちが行なう『仰臥大円 ー あまかがみ(仮称)』にも、その原則が働く。

 

 仰向けに横たわって目を瞑る。

 両手を上方へ差し伸ばしてから円を描く。

 その際、手元を超えて、想像力を遊ばして、できるだけ遠方に自分を囲む円周を描く。

 我が身は静かに横たわったまま大いなる円の中心にある……

 

 これは、誰でも「リラックス」に容易に入りやすい態勢だ。

 (詳しい手順はここでは省略、セミナーのパンフ、P1などを見て下さい)

 けれど、この如何にも簡単なリラックスは、ほんの少しそのまま続けていると、幾つかの変化が順を追うように生じてくる。

 

 ◦我が身を漠然と感じとってゆく。

 ◦同時に身の各部の存在も各部として感じとることになる。

 ◦その時、体の各所に多少の違和感を覚えていても、構わずそのまま受け容れてゆくと、いつの間にか半ば癒されるかのように、全身と各部が宥和してゆくものである。

 ◦全身が大らかに、はじめとは異なった濃いレベルで「一つ」に感じられてゆく…。

 ◦そうするうちに、気づくと息も静かに安らいでゆくことが多い…。

  こうして、リラックスからはじまって、その出会いの過程で身心が少しずつそれまでより一層調和して、自ずと「統一」状態に入ってゆく。

 ◦やがて統一状態は、さらにあたかも「ゼロ」のようになってゆく。古風には「無」になる、と言ったりする。

 ◦『仰臥大円』のプロセスで、己が存在(イノチ)と出会いはじめるのである。

 ◦鏡のように、全身と心が映し出されてゆく。映し出されることで、自ずと整えられてもゆく。(「鏡」と「呼吸」については別の機会に述べよう)

 ◦すると、そこに真の元気 ー 初源の活力 ー への確かな通路を見出すだろう。

 

2024.4.3

香譲

 

     さあ、

     リラックスへ!

     

     『仰臥大円 ー あまかがみ』へ

 

初夏の御岳山展望台(2023年4月末撮影)