●「やさしいアニメーションのはなし」
編 者: JESPA
出版社: 蜻蛉舎(発売:文久書林)
刊行年: 1978年
定 価: 600円
いったいどういう経緯と目的で発行された本なのか謎なのだが、新書サイズの小さな本ながら269ページと分厚く、またアニメーション基礎知識がぎっしり詰まったハンドブックである。ところどころ間違いもあるのだが、便利な本で、私は今も時々活用しているほどだ。
目次を挙げると、
1.アニメーションむかしむかし
2.国内アニメーション製作者群像
3.外国アニメーション製作者群像
4.国内アニメーション作品紹介
5.外国アニメーション作品紹介
6.アニメーションと音楽
7.アニメーションのできるまで
8.作品制作に使われる物
9.技術と効果
10.その他のアニメーション
11.アニメーション製作団体
12.アニメーション関係図書
以上のようなもので、1〜5章までがアニメーション史と国内外の作品作家紹介、6章以降がアニメーション制作に関する基礎知識という区分けができる。
したがって、技術的な事項に関しては、今日ではかなり古くなってしまっているが、国内外の作品作家、とりわけ国内のアニメーション制作者紹介が、なかなか面白い。
1人あたり300〜500字程度という短い紹介ながら、下川凹天や北山清太郎など草創期の人物に始まり、収録されている人物を、あえてすべて挙げると、以下のようになる。
高松熊吉(写し絵)、幸内純一、北山清太郎、下川凹天、木村白山、村田安司、政岡憲三、山本早苗、大藤信郎、木村角山、大石郁雄、藪下泰司、荒井和五郎、横山隆一、芦田巌、前田一、瀬尾光世、熊川正雄、大工原章、持永只仁、古沢日出夫、川本喜八郎、森康二、手塚治虫、久里洋二、神保まつえ、大塚康生、芹川有吾、岡本忠成、渡辺和彦、鈴木伸一、中村和子、島村達雄、矢吹公郎、白川大作、高畑勲、小田部羊一、木下蓮三、児玉喬夫、笹川ひろし、田名網敬一、永沢詢、彦根範夫、山本暎一、勝井千賀雄、月岡貞夫、杉井儀三郎、福島治、古川タク、宮崎駿、出崎統、相原信洋、尾崎真吾、林静一、田中邦彦。
どうです、すごいでしょう(笑)
商業系から個人制作系まで、よくこれだけ載せたなあと思うほどの選択結果である。同じ調子で、海外作家や国内外作品が紹介されていると思えばよい。ただし、カラー図版は皆無。
もちろん各々の字数は少ないので、あくまで「ちょっと参考用」でしかないのだが、それでも便利だ。
古い文献で、古書店でもなかなか見かけないので、入手困難。
ちなみに、国会図書館には収蔵されている。